前F1最高責任者のバーニー・エクレストンは、フェラーリ会長がF1撤退を示唆しているのはもっともだと考えている。
長年にわたってF1最高権威の座にあったエクレストンだが、昨年F1の新オーナーとなったリバティ・メディアはチェイス・キャリーを新たなF1最高責任者に指名。エクレストンには名誉会長という肩書を与えたものの実権はすべて奪い去った形となっている。
87歳のエクレストンは最近ジュネーブモーターショー2018の会場でフェラーリ会長を務めるセルジオ・マルキオンネと会っていたようだ。
そのマルキオンネはリバティ・メディアが示した今後のF1運営案などに対して反発しており、このままではフェラーリがF1から手を引くことになるだろうとの脅しをかけていることが知られている。
■マルキオンネを支持するとエクレストン
こうした件について、エクレストンは『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語った。
「我々が何を話したのかは簡単に想像できるだろう。セルジオとはこれまでずっと意見が合っていたよ」
「私も20チームが20の違うエンジンを搭載して戦う世界選手権を夢見ているよ。だがそれは理想郷だ」
「恐らく、リバティ・メディアは私が想像することもできないようなことをやろうと考えているのだろう」
「マルキオンネは、何かを口にすればそれを実行するし、後ろを振り返ったりはしない人物だ。だからリバティは自分たちが何をしているのかについて慎重であるべきだよ」
「私はエンツォ(フェラーリ創設者のエンツォ・フェラーリ)の時代からフェラーリとは緊密な関係にあった。F1は、あるいは私のF1はと言ってもいいかもしれないが、巨額の配当を株主たちに分配する会社だった。もちろん、常にいざこざはあったし話し合いも行われてきた。だが最終的にはいつも最善の結果に到達したものだ」
「マルキオンネは私の立ち位置が分かっている。セルジオは彼が何を望んだとしても私が彼の味方であることが分かっているんだ。我々は多くのことについて話し合ってきたからね」
■現在の契約にはすべて理由がある
さらに、リバティ・メディアがオーナーとなってからF1の収入が大きく減少していることについて質問されたエクレストンは次のように答えた。
「現存する契約の多くは私が作って彼らに引き継いだものだ。その時点では、金はあったよ」
その現在の契約の中にはフェラーリに対してより多くの分配金がボーナスとして支払われることになっている。リバティ・メディアは今後それを撤廃することを目指していると伝えられている。
そのフェラーリに対する優遇契約について尋ねられたエクレストンは次のように答えている。
「それはボーナスじゃないんだ。それは参戦実績に対する賞金だったんだ。なぜならば、フェラーリはずっと参戦してきたんだからね」
「私は決して理由もなく与えたことなどないよ。私が何かを与えたときには、そこには常に理由があったんだ」
■リバティ・メディアには無駄が多い
今シーズンを迎えるにあたってリバティ・メディアがグリッドガール廃止を決めたことが大きな話題のひとつとなっていたが、その件について意見を求められたエクレストンは次のように答えている。
「私はもはや直接的にはかかわっていない。だからほかの人たちと同じように見ているよ。ああいうことは理解に苦しむね。グリッドガールの件は優れたアイデアだとは思えないよ」
リバティ・メディアのF1運営において何かよい点はあるかと尋ねられたエクレストンは「あまりないね」と答え、次のように続けた。
「私は、彼らが多くの金を投げ捨てているように見える。私がやっていたころのFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント/F1の商業権管理組織)は常に30人以下だった。小さいが効率的な組織だったんだ」
しかし、リバティ・メディアはすでにFOMのスタッフ数を150名に増員しており、さらに増やそうとしていると言われている。
「恐らく彼らは必要ではないはずだよ」
そう述べたエクレストンは次のように付け加えた。
「私が短い時間でやってのけたことの3倍か4倍のことを彼らができないのであればね」