メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダが、今年のメルセデスAMGがフェラーリやレッドブルに対して持つアドバンテージはせいぜい0.2秒ほどだと語った。
■バルセロナでハイパーソフトをテストしなかったメルセデス
F1公式タイヤサプライヤーのピレリは、今シーズンに向けてドライタイヤの種類を増やし、新たに一番軟らかいコンパウンドのハイパーソフトタイヤを投入することになっている。
2月末から3月初旬にかけてバルセロナで行われた公式シーズン前テストでは各チームのドライバーたちがそのハイパーソフトを履いての走行も行っていた。
だが、2014年から4年連続でドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを独占してきた最強チームのメルセデスAMGはテストにそのハイパーソフトを持ち込むこともしていなかった。
気温が低いバルセロナではそのタイヤでテストしてもあまり意味がないためだというのがメルセデスAMGの見解だと伝えられているが、裏返せば、それは今季も自分たちが圧倒的に速く走ることができるという自信があることの証拠だと考えている者も多い。
■ライバルたちとの差はほとんどないとラウダ
現役時代には3度F1チャンピオンの称号を得た元F1ドライバーでもあるラウダは、このことについて質問されると母国オーストリアの『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』紙に次のように答えた。
「ハイパーソフトは我々のプログラムにはまったく入っていなかったんだ」
「我々が一番重視したのは信頼性だった。というのも、シーズンを通じて3基のエンジンしか使用が認められなくなるからね」
「我々の準備はこれまでの数年よりもうまくいったよ。だからオーストラリアには自信を持って向かうことができる。だが私は、自分たちはレッドブルやフェラーリと似たようなレベルだと見ているよ」
■メルセデスに続くのは?
しかし、今週末にメルボルンで行われるF1開幕戦オーストラリアGP(25日決勝)に向けてブックメーカーたちが示している賭け率を見ても、メルセデスAMGが勝利すると予想している者が圧倒的に多いことが示されているという。
そのことについて質問されたラウダは、「私はブックメーカーではないから、彼らがどうやって賭け率を決めているのかは分からないよ」と答え、次のように付け加えた。
「私は、最大で0.2秒ほど前にいると思っている。次がレッドブルだ。そしてそれに続くのがフェラーリだね」
■今季のメルセデスF1マシンには自信
そう語ったラウダだが、そのコメントもライバルたちに向けたブラフであるかもしれない。というのも、ラウダはメルセデスAMGの2018年型F1マシンは昨年のものよりも格段によくなっていると語っているからだ。
「W09(2018年型車)は運転しやすくなっているね。ボッタスもうまく扱えるようになっている」
ラウダはそう語ると次のように付け加えた。
「私が気付いたのはコーナリングスピードがすごいということだった。もちろん、それはサーキットに来るファンにとっても素晴らしいことだ。音のレベルも上昇したしね」
■ヘイローでドライバー識別が困難に
だが、ラウダも今季からF1マシンに装着することが義務付けられたコックピット保護装置「ヘイロー」についてはいい印象を持てなかったようだ。
「これからはドライバーのヘルメットが見づらくなってしまうよ。ファンは誰がクルマに乗っているのか見分けがつかない。だからそれは改善しないとね」
■グリッドガール廃止はMeTooへの過剰反応
ラウダはさらに、F1オーナーのリバティ・メディアがグリッドガールを廃止してその代わりにグリッドキッズを新たにF1グリッドに登場させることにしたのも気に入らないと次のように主張した。
「あれは“MeToo運動”に対するアメリカ人の過剰反応だよ。グリッドガールはこれまでずっとF1の一部だったんだ。それに子供を使うのはすでにサッカーがやっているしね。あれは改革でも何でもないよ」