マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエが、今季のF1第6戦モナコGPに出走することが決まったジェンソン・バトンには事前に実車での走行を経験しておく必要はないと主張した。
■モナコで6レースぶりにサーキットに戻ってくるバトン
昨シーズン限りでF1の現役生活に別れを告げていたバトンだが、フェルナンド・アロンソがインディ500に挑戦するため、同日に開催されるF1モナコGPを欠場することとなり、昨年の最終戦以来6レースぶりにF1カーのステアリングを握ることになった。
今季のF1カーは大きくレギュレーションが変わっているが、バトンはモナコでその新F1カーに初めて乗ることになる。バトンはイギリスのウォーキングにあるマクラーレンのファクトリーでシミュレーターを使ってモナコGPに備えることになるという。
■シミュレーターだけで準備は十分?
だが、これについて疑問の声をあげた者もいる。
例えば、ウィリアムズのベテランドライバーであるフェリペ・マッサはせっかく先週バーレーンでシーズン内公式テストが開催されたのに、どうしてそこでバトンに2017年型車を実際に体験する機会を与えなかったのか分からないと語り、「もしシミュレーターで十分だとしたら、どうしてトップドライバーの多くがそれをあまり使いたがらないんだい?」と付け加えていた。
■バトンならシミュレーターで十分だとブーリエ
だが、ブーリエは、実際のところシミュレーター作業がバトンにとっては最善の選択肢なのだとスペインの『El Confidencial(コンフィデンシアル)』に次のように語った。
「今年のクルマのテクノロジーを考えたとき、(実車での)テストを行ってもあまり有益ではないだろうと判断した」
「シミュレーターは非常に本物そっくりにできているから、彼(バトン)がクルマをテストするにはベストなんだ」
「彼なら10周もすれば、それで大丈夫のはずさ」
■体力にも自信はあるとバトン
今季のF1カーは昨年よりもダウンフォースが強められ、幅広タイヤによるグリップも向上しているために、コーナリングやブレーキング時にドライバーの身体にかかる負担はかなり大きくなっている。
だが、37歳のバトンは、そのことに不安はないと次のように語った。
「僕は最近もトライアスロンのためのトレーニングをたくさんこなしたんだ。だから心配ないよ」
さらにブーリエも次のように付け加えた。
「彼はほんの何レースかレースに出ていなかっただけで、体調もすこぶるいい。それに、彼はモナコを得意としてきた。私は、彼が素晴らしい仕事をやっておけるだろうと確信しているよ」