2016年のF1シーズンも、メルセデスAMGが3年連続でのタイトル獲得に向けて圧倒的な強さを示すだろうと予想している者が多い。だが、メルセデスAMGも決して油断はしていないようだ。
■メルセデスAMGは900馬力以上を実現
メルセデスAMGのエンジン責任者であるアンディ・コーウェルは、ドイツのテレビ局『RTL』に対し、このシーズンオフの間にパワーユニットをさらに進化させたと次のように語った。
「我々は過去2年にわたって一貫して開発を進め、大きな前進を果たしてきた。そのことに変わりはないよ」
伝えられるところによれば、コーウェルは2016年スペックのパワーユニットは総出力が900馬力以上に到達することを明らかにしたという。
■ライバルの進歩を警戒。ホンダも脅威
だが、コーウェルは、ライバルメーカーたちも同じように進歩を見せるだろうと警戒している。
「ここ(メルセデスAMG)にいる誰もが『自分たちはどれくらいやれるだろうか』という疑問を抱いている。我々がまた勝てるだろうと予想している者などひとりもいない。誰もがフェラーリにやられるのではないかと心配しているし、ホンダだって大きな脅威だととらえている」
そう語ったコーウェルは、次のように続けた。
「ルノーの決意も侮れないよ。彼らは今後さらにF1へのかかわりを強めるわけだからね。話題に上るような面白い展開が見られるだろうね」
■ルール変更で勢力図に変化は?
2016年シーズンにおいては、各エンジンメーカーには32枚の開発引換券とも言える「トークン」が与えられることになっており、2017年以降はそのトークンシステムが撤廃され、より自由にエンジン開発が可能になると言われている。
だが、天才F1カー設計者との評価も高いレッドブルの技術責任者エイドリアン・ニューイは、今後もエンジンに関してはメルセデスの優位は動かないだろうと考えている。それにより、大きな予算を持つメルセデスもさらに自由に開発を進められることになるため、現在よりもさらに大きな差がつく可能性もあるというわけだ。
だが、コーウェルはエンジン開発凍結ルールが撤廃されることは歓迎だと、次のように付け加えた。
「追いつくことができないのはルールによってそれが許されない状況に置かれているからだなどと言われる状況は望んでいないよ」