元F1ドライバーのマルク・スレールが、現在のF1にいろいろ問題はあるにせよ、強すぎることを理由にメルセデスAMGを責めることは不当だと主張した。
現在、人気低下が危ぶまれているF1だが、その理由のひとつはメルセデスAMGが圧倒的な強さを誇っていることで「退屈」なシリーズになってしまっているためだと指摘する声もある。
確かに、2014年シーズンは全19戦中メルセデスAMGが16勝をマーク。今季もここまでの9戦で8勝と、すでに今年のコンストラクターズタイトルの行方は決まったも同然だ。
だが、80年代にアロウズやブラバムなどで活躍したスイス出身のスレールは、『Tagesanzeiger(ターゲスアンツァイガー)』に次のように語った。
「これまでも常に支配力を持ったチームはあった」
「メルセデスAMG以前にも、ベッテル(セバスチャン・ベッテル/現フェラーリ)を擁したレッドブルや、シューマッハ(ミハエル・シューマッハ)を擁したフェラーリがそうだった。我々はそうしたことを受け入れなくてはならない。それはかなり技術的要素に負うところが大きいからだ」
しかし、ここ2年間に見るメルセデスAMGの支配力は以前とはレベルが違うものとなっているのではないかと質問されたスレールは、次のように続けた。
「私は、ここ何年かでそういうレベルが強まったとは思っていない。変わったのは見る側の許容度のほうだ」
「だが、ひとつのシーズンにおいて多くのチームがタイトルを争うというようなことは、これまでも例外的なことだったんだ」
63歳となるスレールは、「基本的な問題はレギュレーションにあるんだ」と主張。
「あまりにも複雑すぎて、もはやファンには理解不能だ。同時に、マーケティングもひどいものだ」
「例えば、“ハイブリッド”という言葉を使っているのは唯一メルセデスAMGだけだ。どのチームもMGU-H(熱エネルギー回生システム)とMGU-K(運動エネルギー回生システム)を使っているのにね。そしてF1もそうしたメッセージを出すことで商売に結び付けようとしていない」
そう語ったスレールは、次のように付け加えた。
「私はハイブリッドへの移行は素晴らしいことだと信じているよ。そこにクルマの将来があるんだからね。だが、(F1に)携わっている者たちは、あまりにも複雑なものとしてしまうという失敗を犯してしまったんだ」