メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフが、現在ドライバーランキングの3番手につけるフェラーリのセバスチャン・ベッテルがルイス・ハミルトンやニコ・ロズベルグを逆転して今季のF1タイトルを取るのはもう難しいだろうとほのめかした。
【結果】F1オーストリアGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント
今季、フェラーリが2014年のF1チャンピオンチームであるメルセデスAMGとの差を縮めてきているのは間違いない。
だが、先週末のF1オーストリアGPで、もっとフェラーリからの追い上げを受けると予想していたメルセデスAMGのニキ・ラウダ(非常勤会長)は、ロズベルグとハミルトンが3番手からスタートしたセバスチャン・ベッテルをいとも簡単に引き離してみせたことに「驚いた」と語っていた。
ベッテルも、「期待していたほど力は接近していなかった」と認めている。
ヴォルフは、レースを振り返って次のように語った。
「最初の10周か15周は、我々も全力で走ったよ。その後は少しばかりリラックスできたけどね」
今季3勝目をあげたロズベルグも、「キャリアを通じてもすごく楽に勝てたレースのひとつだった」とまでレース後に言ってのけた。
フェラーリでは、前戦カナダGPに、トークンを使用してシーズン中にパフォーマンス改善に取り組んだエンジンを投入してきていた。そして今後さらに性能を向上させたエンジンをモンツァ(第12戦イタリアGP/9月6日決勝)やオースティン(第16戦アメリカGP/10月25日決勝)でも投入してくるかもしれないとうわさされている。
「我々のクルマは常に進歩を続けている」と語ったフェラーリのセルジオ・マルキオンネ会長は、「モンツァでのレースを迎えるころにはさらに強い位置に立てると考えている」と、そのうわさを裏付けるようなコメントを行っている。
だが、仮にフェラーリがイタリアGPでメルセデスAMGと同等のパワーに到達したとしても、それでは「時すでに遅し」ということになりそうだ。
8戦を終えた時点で、ランキング3番手のベッテルは、すでにハミルトンから49ポイントの差をつけられてしまっている。メルセデスAMGの信頼性の高さを考えれば、ベッテルが今季のタイトルを狙うためにはすぐにでも差を縮め始めなければならないだろう。
「もし我々がハンガリー(第10戦/7月26日決勝)まで現在のリードをさらに開き、あるいは維持することができるようなら、フェラーリにとってはさらに厳しくなるだろうね」とヴォルフは付け加えた。