F1エンジンサプライヤーであるルノーがトロロッソを買収し、再び自らのワークスチームとしてF1本格復帰を果たすことになりそうだと報じられている。だが、そう簡単にこの話が進展することはなさそうだ。
トロロッソのチーム代表であるフランツ・トストは、仮にルノーがイタリアのファエンツァに本部を置くトロロッソを現在のチームオーナーであるレッドブルから買収することになれば「素晴らしいだろう」とオーストラリアで語っていた。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、先週次のように語った。
「フランツは、彼のチームをシリル(アビテブール/ルノーのF1エンジンプロジェクトリーダー)に売りたいと考えているように聞こえるね。そうなれば、我々にはエンジンが必要となるだろう」
レッドブルと、現在ワークスエンジンを同チームに供給しているルノーとの関係が悪化しているのは明らかだ。もし本当にルノーがトロロッソを買収し、レッドブルとの関係が完全に終わることになれば、ワークスエンジンを失うレッドブルは非常に厳しい立場に置かれてしまうことになる。
「メルセデスはレッドブルにエンジンを供給することは拒むだろう」とホーナー。「フェラーリを購入する立場になることもないだろうし、そうなれば我々は実質的にF1からの撤退を余儀なくされてしまうかもしれない」
そうなれば、レッドブルの出方もおのずと決まってこようというものだ。世界的エナジードリンクメーカーの総帥であり、レッドブルのオーナーであるディートリッヒ・マテシッツの右腕として知られるヘルムート・マルコ(レッドブル/モータースポーツアドバイザー)は、レッドブルではジュニアチームのトロロッソとの関係を維持するという方向を選択する可能性が高いことをほのめかしている。
マルコが2日(木)にF1公式サイトに語ったことによれば、トロロッソをルノーに売却することも一つの選択肢としてはあるものの、「最も可能性の高いシナリオ」は、チームの所有権はそのままに、ルノーにとって「よりよい宣伝効果をもたらすよう、(トロロッソのF1カーに)黄色いカラーリングを施すこと」だとしている。
「だが、もちろん、金銭面での合意が必要だがね」とマルコは付け加えている。
そういうやり方がとれるのであれば、レッドブルとトロロッソはこれまで通り密接な関係を維持しつつ、恐らくはどちらもルノーエンジンを使い続けることになるだろう。
「そういうシナリオは、レッドブル・レーシングとトロロッソがルールの範ちゅうにおいて緊密な関係を維持し続けるという前提でのみ実現可能なものだ」
そう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「レッドブル・レーシングのスタッフ数はかなり多いし、チームの設備もより洗練されたものとなっている。だから、レッドブル・レーシングのノウハウがなければ、トロロッソの戦闘力は落ちてしまうだろうね」