イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』誌が、フェラーリでは2015年シーズンも独特な「プルロッド方式」のフロントサスペンションにこだわり続けるようだと報じている。
フェラーリが現在のプルロッド方式フロントサスペンションを取りいれたのは2012年のことであり、この報道が事実であれば、フェラーリは4年連続でこの方式を継続することになる。
近代のF1カーのフロントサスペンションは「プッシュロッド方式」が主流となっており、フェラーリが2012年に採用するまで2001年のミナルディを最後にプルロッド方式はF1から姿を消していた。
■あえてプルロッド方式にこだわるフェラーリ
リアサスペンションに関してはレッドブルがプルロッド方式を取りいれて成功したことを受け、プルロッド方式を導入しているチームがほとんどだが、フロントサスペンションにはほぼすべてのチームがプルロッド方式を取りいれている。
2013年にはマクラーレンもプルロッド方式フロントサスペンションを採用したものの、翌年には再びプッシュロッドに戻しており、2014年シーズンにプルロッドを採用したのはフェラーリだけとなっていた。
2014年シーズンには、この年ロータスから移籍してきたキミ・ライコネンが、チームメートのフェルナンド・アロンソに大きく差をつけられることになったが、この原因のひとつにこのプルロッド方式サスペンションがあったのではないかと報じられていた。
ライコネンは、2013年までステアリングを握っていたロータスのクルマにはうまく反応し、フロントサスペンションの調整も楽々と行えることを示していた。だが、ライコネンは2014年のフェラーリF1カーに関し、一番不満を感じたのがフロントのハンドリングだったと指摘している。
プルロッド方式のレイアウトでは、ノーズやサスペンションを低い位置にまとめることができ、重心も下げることができるという利点がある。だが、それと同時に調整は困難となり、セットアップの変更による反応の違いも小さくなるという欠点があると指摘されている。
2001年にプルロッド方式を採用していたミナルディからF1デビューを果たしたという経緯を持つアロンソは、今年はプッシュロッド方式サスペンションのマクラーレンへと移籍した。だが、『Autosprint(オートスプリント)』によれば、フェラーリは「666」というコードネームが与えられた2015年型車に関しても、主流となっているプッシュロッド方式に変更することは考えていないという。
■プルロッドフロントサスとフェラーリドライバーの相性は?
『Autosprint(オートスプリント)』のロベルト・チンケーロ記者は次のように書いている。
「ライコネンはずっとフロント側の正確性が欠けることに関して不満を表していた。それはプルロッド式サスペンションの特性とも言えるものだ」
「そして、ライコネンのスタイルはセバスチャン・ベッテルとそれほど違っているわけではない。ベッテルもこれまで正確で反応性のよいフロントエンドを持つクルマで成果を上げてきていた」
2015年シーズンには、ほとんどのチームが2013年以前とは大きく変わった新ルールでの2シーズン目に向け、2014年のF1カーを進化させてくることになる。だが、ライコネンは最近、今年は2014年ほど苦しむことにはならないだろうと次のように語った。
「次のシーズンは違ってくるよ。クルマも変わるからね。だから(2014年と)似たようなシーズンになるとは思っていないし、本来いるべきところへ行けるはずさ」