F1ブラジルGP(9日決勝)が開催されているサンパウロで、今季限りでフェラーリを離脱することがほぼ確実と見られているフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が、さらにそれを裏付けるようなヒントを示した。
■フェラーリとの関係悪化は明らか?
まず、金曜日に行われたフリー走行2回目で乗っていたフェラーリF1カーが出火し、その消化のために消火器を手にとったアロンソは、その後ほほ笑みを浮かべながらピットへと向かい、彼の周囲には軽い笑い声がおこっていた。
さらに、予選に入ると、アロンソは無線のボタンを押し、フェラーリのピットウォールに向かって「アイ、アイ、アイ、アイ」と驚きを示す叫び声を上げながら、次のようないら立ちの声を上げていた。
「どうしてこんな低電圧のバッテリーで予選を始めるんだい? こんなことがあっていいのかい? どうしてだ?」
その後、アロンソはメディアに対し、ああした短気な反応を示したことは「たいしたことではない」と釈明。似たような無線のやりとりは「何百回も」行われているものの、それがテレビの生放送で紹介されたことがなかっただけだと説明している。
だが、これと時を同じくして、マクラーレンはついに、アロンソと2015年に向けた契約交渉がうまく進展していることを明らかにしている。
そして、アロンソ本人もフェラーリを離脱するであろうことを、より明確に認めている。
■フェラーリ以外にもチャンスはある
「最終的に、僕がどういう決断をすることになるかだけど」
ブラジルGP予選後にスペインの記者にそう語り始めたアロンソは、次のように続けた。
「もし僕が(フェラーリに)いるとすれば、最善を尽くしていくよ。過去5年間と同じようにね。でも、フェリペ(マッサ/ウィリアムズ)も去年は同じような気持ちだったと思うけれど、今では彼はポールポジション争いをしている」
昨年までフェラーリでチームメートであったマッサは、昨シーズン終了とともにフェラーリのシートを失っていた。だが、今季ウィリアムズに移籍したマッサはメルセデスエンジンを搭載したウィリアムズを駆って、母国グランプリであるブラジルではメルセデスAMGと渡り合えるだけの速さを見せ、予選3番手となっている。
一方、マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエは、アロンソに対してマクラーレンへの移籍を決断するための最終期限を突き付けたと報じられたことを否定し、スペインの『Marca(マルカ)』に対して次のように語った。
■マクラーレンも一歩踏み込んだ発言
「この件に関しては、ドイツ人記者によって書かれたものだ。だが、私が言ったのは、アブダビ(最終戦/23日決勝)までには我々のドライバーラインアップを決定したいということだけだ」
そのブーリエは、もはやアロンソとの交渉が行われていることを否定もはぐらかしもせず、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)やセバスチャン・ベッテル(レッドブル)の名前もあげながら、次のように続けた。
「フェルナンドは最高レベルのドライバーのひとりだ。ハミルトンやベッテルとともに、いわば我々の“Aリスト”に名前が載せられている。この3人全員と話をしたし、私としてはフェルナンドかルイスを獲得したいと思っている。なぜならベッテルはすでにフェラーリ行きが決まっているからね」
アロンソはかつて2007年にマクラーレンに加入したものの、チームとの関係が悪化し、わずか1年で離脱したという経緯があった。だが、ブーリエはそうしたことがまた起こることはないだろうと考えている。
「大きく違うのは、ロン(デニス/マクラーレン最高権威)の役割が今は違っているということだ。彼はマクラーレン・グループ全体にかかわる仕事に集中しているんだ。F1チームの日常的な管理ではなくね」とブーリエは主張した。
■アロンソ、マクラーレンにスポンサーも提供か
さらに興味深いことは、ブーリエがスペインのスポンサーがアロンソとともにマクラーレンへ移ってくる可能性も示唆したことだ。
具体的に、サンタンデール(スペインの銀行)やモビスター(スペインの携帯電話会社)などとの関係について質問を受けたブーリエは、笑いながら次のように答えた。
「サンタンデールやマドリレーニャ(スペインの保険会社)とは、具体的な交渉は行われていないよ。だが、もし彼らが来てくれるのであれば、それに何の問題もないよ」
うわさでは、アロンソは来週の水曜日(12日)に、2007年以降初めてイギリスのウォーキングにあるマクラーレン本部を訪れるのではないかと言われている。