F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のF1競技責任者であるチャーリー・ホワイティングが、先週末に開催されたF1モナコGP(第6戦)の予選で起こったスキャンダルに関し、今後こういうことが繰り返されないような策を講じたいと語った。
モナコGPの予選終了後、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンは、予選セッションQ3で最後にポールポジションをかけたアタック走行を行っていた際、自分のアタックを妨害するためにチームメートのニコ・ロズベルグがわざとミスを犯していたと非難した。
FIAでは黄旗を誘発することとなったロズベルグのミスが、ハミルトンの走行を妨害するために故意に行われたものであったのかどうかの調査を行った。だが、最終的にその証拠をみつけることはできなかった。
モナコで競技委員を務めていた元F1ドライバーのデレク・ワーウィックを始め、ロズベルグがかつてミハエル・シューマッハが同じモナコで行ったように故意にミスを犯していたとは考えにくいとする者も多い。
ワーウィックは『Daily Mail(デイリー・メール)』に次のように語った。
「陰謀説があるのは知っている。だが、ニコほど正直なドライバーはF1にはいないからね」
それでも、FIAのその一件に関する調査は数時間にも及んだ。
「それは黒とも白とも言えなかった。長時間を要したよ」とワーウィックは続けた。
「我々としては徹底的に解明したかったんだ。私は長いことレースにかかわってきたし、私の目をごまかそうとする人たちがいたのを見てきているからね。私の中に疑念があったかって? もちろんあったよ。だが、彼は私が求める答えを与えてくれたんだ」
ハミルトンはその夜遅くデータを自分で調べたところ、ロズベルグがわざとそうしていたという確証を得たとほのめかしていた。
しかし、FIAではロズベルグのテレメトリーを詳細に分析した結果、その事実は認められないという結論に達した。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、ロズベルグはその前に自分が暫定のポールポジションタイムを出したときに比べ、そのときの周回ではわずか10メートル進んだところでブレーキをかけており、そのときのスピードもわずか時速6km速かったに過ぎなかったという。
ホワイティングも次のように付け加えている。
「そして、メルセデスAMGのドライバーはどちらも、サン・デボーテ(第1コーナー)でそれまでよりも8メートルあとでブレーキをかけている。彼らはただ全力で走行していたんだ」
これに関し、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは次のようにコメントした。
「ニコが故意にそうしたのかどうかは決して分からないだろう。だが我々は100パーセント彼が無罪だと考えている」
「限界ギリギリで攻めているときには、ミスも起きるものなんだ」
だが、ホワイティングは今後このような疑念がもたらされることがないようにしたいと考えている。
「最後の3分間に黄旗が振られたときには、予選を1分延長するというのはどうだい?」
そう語ったホワイティングは、次のように付け加えた。
「そうすれば、(黄旗の)影響を受けたドライバーにもう一度チャレンジするチャンスが与えられるだろう」