今季のF1第5戦スペインGP(11日決勝)が開幕したが、その初日金曜日(9日)のバルセロナには普段なじみのあるF1最高責任者バーニー・エクレストンの顔が見えなかった。
エクレストンはその日、バルセロナから1000km以上も離れたミュンヘンの法廷に立っていた。
9日の法廷は、エクレストンに対する汚職疑惑裁判において恐らくはもっとも重要なものだったかもしれない。というのも、83歳となるエクレストンが4400万ドル(約45億円)もの賄賂(わいろ)を支払ったという主張を裏付けるために、検察側が重要な証人を召喚したからだ。
興味深いことに、検察側は、エクレストンが主張している元銀行家のゲルハルト・グリブコウスキーによって脅迫を受けたということに対して徹底的に議論しようとはしなかった。『Guardian(ガーディアン)』紙が報じたところによれば、すでに投獄されているグリブコウスキーは、「合意にいたらせようとプレッシャーをかけようと試みた」ことを9日(金)の法廷で認めたという。
表面的には、このグリブコウスキーの証言はエクレストンにとっては有利に働くようにも見える。
『SID通信』はグリブコウスキーの発言内容を引用しているが、その中でグリブコウスキーは、自分とエクレストンの間で、その大金の支払いが何のためのものかということについての詳しい話をしたことは「一度もなかった」と語っている。
「そのことを質問したことは一度もない」とグリブコウスキーは付け加えている。