エイドリアン・ニューウェイはレッドブル・レーシングでF1以外の役割にシフトするかもしれないという。
■予算上限を最大限に活かす方法を模索
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌のミハエル・シュミット記者は、チームが予算上限規制を最大限に活用する方法を模索しているためだと説明している。
「大きなチームが800人から1,000人の従業員で運営を続けているのは、優秀な人材を競争相手に奪われたくないからだ。彼らはむしろ、高額所得者を他のプロジェクトに投入し、F1ではパートタイムでしか働かせないだろう」。
現在、各チームの高収入者3人は支出上限が免除されているため、ニューウェイがF1以外のプロジェクトに移れば、他の著名なスペシャリストたちのために多くの予算が確保されることになる。
「選手権を制したチームは最近、競争相手から多くの人材を引き抜かれている」とシュミットは説明する。
そのため、ニューウェイは「中期的には『RB17ハイパーカー・プロジェクト』に完全に集中するつもりらしい」とシュミットは語った。
■ハイパーカーがF1の開発に役立つことはないと否定
ライバルたちは、ニューウェイがRB17ハイパーカーを開発することで、F1の開発に有利になるのではないかと疑っているようだ。
しかしレッドブルのヘルムート・マルコ博士は、ハイパーカー・プロジェクトは単に支出上限を回避するための手段だと否定する。
「我々の敵対者は、RB17のフロアがF1マシンに情報を提供するかのように解釈しているが、もちろんそれはまったくのナンセンスだ」。
■F1の全てが凝縮された50台限定のRB17は9億円から
RB17は、レッドブル・レーシング・グループのレッドブル・アドバンスト・テクノロジーズが設計・開発・製造する初の量産車だ。
ハイパーカーRB17は2シーターで、ミルトン・キーンズのレッドブル・テクノロジー・キャンパスで2025年から50台生産される。気になる価格は500万ポンド(約9億円)から。
ニューウェイは次のように語っている。
「RB17は、選手権で勝利を収めたF1マシンを作るために私たちが知っていることすべてを凝縮した2シーターのトラックカーで、極限レベルのパフォーマンスを実現するパッケージにしたものだ」
「RB17は、あらゆるレベルのパフォーマンスに対する私たちの情熱に後押しされ、愛好家やコレクターがこれまで手に入れることができたものをはるかに超えるデザインと技術の限界を押し広げるものになる」。
■1,100bhp以上のV8ハイブリッドエンジン搭載
RB17は、1,100bhp以上を発揮するV8ハイブリッドエンジンを搭載し、F1にインスパイアされたハイパーカーを純粋に実現したサーキット専用仕様となる。
このオーナーシップには、マシンだけでなく、シミュレーターでの練習、車両プログラムの開発、サーキットでのトレーニングや体験など、レッドブル・レーシング・チームとの密接な関係が含まれる。
RB17はファクトリーによって直接サポートされ、各オーナーやマシンの使用状況に合わせたサービスやメンテナンスが提供される。
RB17プロジェクトは、既存の雇用を確保するだけでなく、100以上の新たな職を創出することになり、プロジェクトパートナーやサプライヤー全体に経済的利益をもたらすという。