今週末には2023年F1第16戦シンガポールGPがマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットで開催されるが、そこでレッドブルのコンストラクターズタイトル獲得が決定してしまう可能性もある。
今季はまだ負け知らずという圧倒的な強さを誇るレッドブルは、すでにコンストラクターズランキング2番手に位置しているメルセデスに現時点で310ポイントもの大差をつけている。
■シンガポールでレッドブル1-2、メルセデスがノーポイントならタイトル確定
仮に、17日(日)に行われるシンガポールGP決勝でレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスが1-2フィニッシュを達成し、メルセデスがノーポイントで終わるようなことがあれば、シンガポールでレッドブルのタイトル獲得が確定してしまうことになる。
というのも、その後の7レースをレッドブルが全てノーポイントで終え、メルセデスが全てのレースで1-2フィニッシュしてファステストラップポイントも獲得した場合、両チームは最終戦終了時点では同ポイントで並ぶことになる。
だが、この場合、メルセデスはレース勝利数でレッドブルを上回ることができないため、レッドブルのタイトル獲得が決定することになる。つまり、メルセデスがどんなに頑張っても最終戦を終えた時点でレッドブルを上回る可能性が消えた時点でレッドブルのタイトル獲得が確定してしまうわけだ。
とは言え、メルセデスが2台ともにノーポイントでシンガポールを去る可能性はあまり高くはないだろうし、レッドブルのコンストラクラーズタイトル確定は、鈴鹿で行われる第17戦日本GP(24日)に持ち越されることになることになりそうだ。
■注目すべきは熾烈なランキング2位争い
しかし、最終的にレッドブルがコンストラクターズ選手権を制することは間違いない状況であり、ファンの興味は2位争いの方に向けられているのが現実だろう。
実際のところ、今季のコンストラクターズ選手権2位争いはかなり白熱したものになっている。
現時点では、ランキング2番手のメルセデスが273ポイントで、3番手につけているフェラーリが45ポイント差の228ポイントとなっている。そして、4番手のアストンマーティンはフェラーリとわずか11ポイント差の217ポイントだ。
アストンマーティンに関しては、チームオーナーの息子であるランス・ストロールの調子が上がってこなければ3位浮上、2位浮上はかなり厳しいと考えられるが、それでも数字的にはまだ可能性は残されている。
■少なくとも2位でなくてはならないとメルセデス
もちろん、メルセデスとしては、少なくともコンストラクターズ選手権2位確保を現時点での現実的目標として掲げている。
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、スイスの『Blick(ブリック)』に次のように語っている。
「我々は少なくとも準優勝するべきだ」
■簡単ではないが可能性はあるとサインツ
フェラーリのカルロス・サインツは、メルセデスとの45ポイント差を縮めるのは簡単なことではないだろうと認めている。
「だけど、もしも僕らが今シーズンの残り3分の1で完璧な仕事をすれば、そうすることはできるよ」
地元モンツァで行われた前戦イタリアGPでレッドブルの2人と共に表彰台に上った29歳のスペイン人ドライバーはそう語ると、次のように付け加えた。
「これまでの年は、マシンの改良に関してはメルセデスやレッドブルよりも僕たちの方が後れをとっていた印象があったんだ。だけど、今年は違うよ」
■2番手再浮上を目標に掲げるアストンマーティン
一方、アストンマーティンでパフォーマンスエンジニアリングディレクターを務めているトム・マッカローは、今シーズン序盤のように再びランキング2番手になることを目指すとしている。そのためには、現在2番手に位置しているメルセデスとの56ポイント差を残り8レースで逆転する必要がある。
「目標はF1選手権で2番手に返り咲けるよう頑張ることだよ」
そう語ったイギリス出身エンジニアのマッカローは、次のように付け加えている。
「熾烈な競争に直面している中、それは勇敢な目標だ。しかし、よりダウンフォースの高いいくつかのサーキットに戻れば、もっと競争力を示すことができると期待しているよ」
■カギを握るのはストロールのパフォーマンス
ともあれ、アストンマーティンのランキング浮上に関しては、上に書いたようにストロールが調子を上げてくることが絶対に必要となる。現在のアストンマーティンのコンストラクターズポイントは217ポイントだが、そのうちの170ポイントはフェルナンド・アロンソが稼ぎ出したものだ。
仮に、ストロールがこれまでにフェラーリのシャルル・ルクレールやメルセデスのジョージ・ラッセルに近い100ポイントほどを稼ぎ出していれば、アストンマーティンは今も悠々とコンストラクターズランキング2番手の位置にいたはずだ。