2023年F1シーズン序盤にはフェルナンド・アロンソが8戦中6戦で表彰台に上る活躍を見せていたアストンマーティンだが、シーズン中盤以降はパフォーマンスの低迷に苦しんでいる。
■シーズン中盤にペースダウンしたアストンマーティン
アストンマーティン2023年型F1マシンであるAMR23が、シーズン開幕当初はグリッド上でレッドブルに次いで2番目に速いマシンだったのは事実であり、第7戦モナコGPまではアストンマーティンがコンストラクターズ選手権2番手に位置していた。
だが、第8戦スペインGPでメルセデスに逆転を許して3番手に下がったアストンマーティンは、その後も徐々にメルセデスから差を広げられ、現時点ではフェラーリに5ポイント差までに追い上げられている。
アストンマーティンは第9戦カナダGPでサイドポッドとフロアを一新したほか、イギリスGPとハンガリーGPでも小規模なアップデートを実施している。
しかし、アストンマーティンの勢いは戻らず、逆にイギリスGPとハンガリーGPではマクラーレンが大きな進歩を遂げるなど、ライバルチームたちの躍進が目立つようになっている。
■アストンマーティンF1マシンも向上はしている
しかし、アストンマーティンは、自分たちが後退してしまったのではなく、実際のところはアップデートによって自分たちのマシンのパフォーマンスも向上していると主張している。
アストンマーティンのパフォーマンスエンジニアリングディレクターを務めるトム・マッカローは、いくつかのメディアに対して次のように語った。
「根本的に変わってしまったのだとは思っていないよ」
「小さな変化は常にあるものなんだ。だが、一番大きいのはいくつかのサーキットが異なること、そしていくつかのチームが異なる速度で開発してきたことだと思っている」
「我々もマシンを改良し、パフォーマンスを向上させてきているんだ。確かに、わずかな特性の違いはあるがね」
そう続けたマッカローは、次のように付け加えている。
「しかし、同じマシンをいくつかのサーキットで連続して使ったとしても、わずかな特性の違いはあるものなんだ。つまり、小さな変化がね」
■ライバルチームの開発ペースについていけなかったアストンマーティン
AMR23の特徴は中低速コーナーで優れたパフォーマンスを発揮することだった。そのためアストンマーティンはモナコとハンガリーでは自分たちの強さを示すことができるだろうと予想していた。
そして、モナコでは実際にアロンソが予選2番手、決勝も2位という好結果を残している。しかし、そこから5戦目に開催されたハンガリーでは、予選8番手、決勝では9位と沈んでしまっている。
これは、AMR23のパフォーマンスが低下したのではなく、ライバルたちのパフォーマンス向上レベルに追い付くことができていないということのようだ。
■今後の開発課題は?
シーズン中盤からライバルチームとの開発戦争に後れをとってしまっているアストンマーティンだが、AMR23のポテンシャルをさらに引き出すため今後も開発を続けていくつもりのようだ。
「今年の開発の目的のひとつはストレートラインでのスピードとDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)を向上させることだったと思う。そこが、今季の開幕当初いくつかのチームほど競争力がなかった部分かもしれない」
そう語ったマッカローは、次のように付け加えている。
「我々はただ、自分たちが強くなかったところを見て、その部分を改善しようとしているんだ。以前我々のマシンが持っていた強さを失うことなくね」