レッドブル・レーシングのテクニカルディレクターを務めるピエール・ワッシェが、ライバルF1チームたちが自分たちのDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)をうまくコピーできずにいることに驚いていると認めた。
今年も圧倒的な強さを見せているレッドブルだが、そのアドバンテージのひとつが追い抜き支援システムであるDRSにあるのは確かだ。
■いまだにレッドブルのDRSを理解できていないライバルたち
しかし、フランス出身エンジニアのワッシェは、メルセデスやフェラーリといったライバルチームたちが自分たちのDRSをうまくコピーできていないことにかなり驚いているようだ。
「おかしいのは、我々がそれを導入してから2年も経っているのに、みんながその話をしていることだ」
「我々は何かトリックのようなものを使っていないかどうかを確認するために何百回にもわたってFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)によるテストを受けてきた。そして、どうしてハイダウンフォースのサーキットではそのアドバンテージがなくなるのかを誰も理解していないんだ」
『Motorsport.com』にそう語ったワッシェは次のように付け加えている。
「つまり、それは、彼らがまだそれを理解することができていないということだし、我々はそのことにすごく驚いているよ」
■今季中にライバルたちが差を縮めるのは困難
2023年F1シーズンはレッドブルがここまでの12戦で12勝と圧倒的な強さを見せており、コンストラクターズ選手権では現在2番手のメルセデスに256ポイントの差をつけている。ドライバーズランキングもすでに今季10勝をあげている現F1チャンピオンでマックス・フェルスタッペンがチームメートのセルジオ・ペレスを含むライバルたちに大きな差をつけており、今季のタイトルの行方はすでにほぼ確定的な状況となっている。
現在のレッドブルとフェルスタッペンの調子を考えれば、シーズン後半にライバルたちがレッドブルとのパワーバランスが変わるほどの大幅な改善を果たす可能性は小さいだろう。
そうであれば、ライバルチームたちとしては、今季のマシン開発を続けつつも、それをほぼ同じ技術ルールのもとで行われる2024年型マシン開発にどう生かしていくかということに焦点を合わせていくしかなさそうだ。