レッドブル・レーシングのリザーブドライバーであるリアム・ローソンが、2023年に日本のスーパーフォーミュラに参戦していることがF1昇格を目指す上で大いに役立っていると語った。
■スーパーフォーミュラで存在感を示すローソン
2022年のF2選手権をランキング3位で終えたニュージーランド出身ドライバーのローソンだが、レッドブルは21歳のローソンをそのままF1に昇格させることはせず、その代わりに日本に送り込んでスーパーフォーミュラで経験を積ませることを選択している。
そして、チーム無限から参戦したローソンはいきなり富士スピードウェイで行われた開幕戦で勝利するという幸先の良いスタートを切ると、その後さらに2勝をあげ、現時点ではランキングトップの宮田莉朋(トムス)とわずか1ポイント差のランキング2番手につけている。
■スーパーフォーミュラはF2よりももっとF1に近い
年間チャンピオンの座をかけて残り3戦を戦うことになるローソンは、スーパーフォーミュラについてオーストラリアの『Speedcafe.com』に次のように語っている。
「とてもクールだよ。過去4年にわたって僕がF1のパドックや、F3とF2でやってきたこととはすごく違うんだ」
「日本でのレース、日本のチームとの仕事に慣れるまで少し時間がかかったのは間違いないけれど、それはすごくクールなことだったよ」
ローソンによれば、スーパーフォーミュラの非常に競争力の高いマシンは、パフォーマンスの観点で見ればF2よりもF1に近いとともに、F1に近い技術的洗練度も有しているという。
「F1がこれからも最高峰であり続けることに変わりはないけれど、それ(スーパーフォーミュラ)はかなり近いんだ。純粋なスピードだけでなく、マシンの挙動に関してもね」
ローソンはそう語ると次のように続けた。
「マシンのメカニカルな部分や空力のセットアップなど、実際に取り組んでいることから言えば、車高とかそういうことに関して本当にすごく繊細なんだ。F1がそうであるようにね」
「F2にはそこまでの繊細さはないよ」
「だから、ドライバーとして学んでいるマシンのセットアップとかそういうことに関しては、かなり(F1マシンに)近いところにあるね。バッテリーシステムやMGU-K(運動エネルギー回生システム)のようなものはないけれど、エアロやマシンに関してはF1に似ているよ」
■スーパーフォーミュラでマシンセットアップの知識も向上
もちろん、こうしたF1マシンとの共通点は、ローソンの技術的知識を飛躍的に高めるのに大いに役立っているようだ。
「初めて(F1に)行ったとき、僕たちはマシンのいろいろなことを変えていたんだけど、僕はやっていることの半分もわからなかったんだ。なぜなら、F2ではもっとシンプルなことをやっているからね」とローソン。
「だから、F1へのステップアップが大変なのはそれが理由だと僕は思っているよ。あまりにも大変すぎて、全てを学ぼうとして悪戦苦闘してしまうことが多いんだ」
「幸いなことに、僕はリザーブドライバーというポジションで(レッドブルのファクトリーがある)ミルトン・キーンズでチームと一緒に多くの仕事をしている。それによって僕はドライブすることなくF1の世界に加わることができるんだ。でも、僕はまだ舞台裏でいろいろなことを学んでいるところだよ」
■スーパーフォーミュラ参戦でステップアップできた
全体的に見れば、今シーズンのスーパーフォーミュラ参戦により、ローソンはレース感覚を失うことなく、今後のF1昇格を目指す上で非常に貴重な経験を得られることになるだろう。
ローソンはスーパーフォーミュラと昨年まで戦っていたF2を比較しながら、次のように続けた。
「レギュレーションにはかなり自由度があるし、チームはマシンの開発をより多く行っているんだ」
「スーパーフォーミュラのほうが規模も大きいから、より多くの人たち、より多くのエンジニア、より多くのメカニックと仕事をしているよ」
「週末も自分たちがメインだから、サーキット走行時間もたくさん稼げるしね」
「それに、経験もそうだし、一緒に戦っているドライバーたちとのレースはとてもレベルが高いんだ。中には10年以上もそこでやってきた選手もいるからね」
そう語ったローソンは、次のように付け加えた。
「だから、これまでとは違うけど、僕が過去にやってきたと比べれば間違いなくステップアップしているよ」
ローソンが次に迎えるスーパーフォーミュラ第7戦は、今月18日(金)から20日(日)にかけて栃木県の『モビリティリゾートもてぎ』で開催される。