角田裕毅が認める。チームメートがリカルドに代わったことで「状況が完全に変わった。経験豊富で速いリカルドと戦う準備はできている」
角田裕毅が、ニック・デ・フリースに代わってダニエル・リカルドが新たなチームメートとなったことで、アルファタウリにおける自分の状況が「完全に変わった」と認めた。
■レッドブル昇格もうわさされてきた角田
レッドブルのジュニアチームで3年目のF1シーズンを迎えている角田だが、今年のアルファタウリF1マシンには戦闘力がなく、ここまでずっと苦戦を強いられてきている。
しかし、角田はアルピーヌへ移籍したピエール・ガスリーの後任として今年からチームに加わったデ・フリースを上回るパフォーマンスをほぼ全てのレースで見せるとともに、非力なアルファタウリF1マシンのパフォーマンスを最大限に引き出してきている。
これにより、角田の評価は高まりつつあり、現在レッドブルでマックス・フェルスタッペンのチームメートを務めているセルジオ・ペレスの後任として2025年にはレッドブルに昇格する可能性もあると考えられている。
■リカルド加入でその状況に変化が
だが、今季のF1第11戦イギリスGP後にオランダ出身のルーキードライバーであったデ・フリースが解雇され、第12戦ハンガリーGP以降はかつてレッドブルで活躍していたオーストラリア出身のリカルドを新たなチームメートに迎えたことで、その状況に変化が生じてきているようだ。
2021年から2年間所属したマクラーレンでは不振だったものの、F1通算8勝の実績を持つリカルドがアルファタウリでいいパフォーマンスを示すことができれば、2025年に再びレッドブルに復帰するチャンスもあると考えられている。
実際のところ、レッドブルのドライバープログラム責任者として知られるヘルムート・マルコ（モータースポーツアドバイザー）は、リカルドの起用にあたって「角田を打ち負かす必要があるのは明らかだ」と語っている。逆に言えば、もし角田がリカルドに圧倒されてしまうようなことになれば、レッドブル昇格の望みも消えてしまうことになるだろう。
■アルファタウリの初戦で角田を上回ったリカルド
こうした状況のもとで迎えたハンガリーGPでは、初めてアルファタウリの2023年型マシンのステアリングを握ったにもかかわらず、リカルドが予選で角田を上回り、決勝でもリカルドが13位となったのに対し、角田は15位に終わっている。
そして、23歳の角田もF1で230戦以上を戦ってきた経験を持つリカルドから「多くのことを学んでいる」と認め、次のように続けている。
「ダニエルはより多くの情報を与えてくれ、僕が改善しなければならない部分も教えてくれると思います」
「僕にとって、状況は完全に変わりました。今の僕のチームメートは経験豊富なだけでなく、非常に速いんです。僕はすでにそれを感じています」
■スパでは苦戦のリカルドを尻目に角田が好パフォーマンス
しかし、リカルドは、アルファタウリでの2戦目となった先週末の第13戦ベルギーGPでは苦戦を強いられてしまった。その理由のひとつは、スパ・ウェザーとも呼ばれるスパ・フランコルシャン・サーキットの天候によるコンディション変化だったのかもしれない。
だが、リカルド本人は、スパでの自分のパフォーマンスを悪コンディションのせいにはしていない。
「ドライのときでさえ、僕にはすごく難しかったんだ。僕はストレートですごく速いマシンと常に接近していたけれど、後方から抜け出すことはできなかった」
「どうやら、ライバルたちはタイヤの性能をもっと絞り出すことができていたみたいだ。だから、またマシンに乗って、どこを改善することができるのかを確かめたくてたまらないよ」
「だけど、僕はひどく動揺したくはないんだ。決勝はこの週末を通じて唯一のドライセッションだった。だから、セットアップのせいだったかもしれないからね」
スパ・フランコルシャンでのレースを16位で終えた34歳のリカルドはそう語ると、次のように付け加えている。
「レースを走りきることができたのはうれしく思っているよ。チームに多くのフィードバックができるからね」
■リカルドと戦う準備はできていると角田
一方、このレースで10位入賞を果たし、第4戦アゼルバイジャンGP以来となるポイント獲得に成功した角田は、スパではハンガリーよりもいいパフォーマンスを発揮できたことに満足しているものの「今ではプレッシャーがずっと大きくなっている」と認めている。
「そのために、僕はいくつかのミスを犯してしまいました。ですが、スパではレースでうまくやりこなすことができました」
そう語った角田は、次のように付け加えた。
「簡単ではありませんでしたが、シーズン後半にダニエルと戦えるのをうれしく思っていますし、その準備はできています」
