現在圧倒的な力を誇っているレッドブルを含め、いくつかのトップF1チームたちが2023年のバジェットキャップ(チーム予算上限)に違反する可能性があると報じられている。
そうした中、F1最高責任者のステファノ・ドメニカリが、違反した場合の罰則をさらに厳しいものにするべきだと考えていることを認めた。
■ペナルティを受けながらも好調なレッドブルとアストンマーティン
昨年はレッドブルとアストンマーティンが2021年のバジェットキャップに違反していたと判定されている。
レッドブルの違反は“軽微”なものだったとされているが、これによりレッドブルには700万ドル(約10億円)の罰金と、2023年の風洞時間10パーセント削減というペナルティが科されている。
また、アストンマーティンの場合は“手続き上の違反”だったとして45万ドル(約6,600万円)の罰金が科されている。
だが、皮肉なことに、そうしたペナルティを受けたレッドブルが今季も圧倒的な強さを誇っており、アストンマーティンも昨年から大きくパフォーマンスを向上させている。
■バジェットキャップ違反にはより厳しい罰則が必要だとドメニカリ
そして、CEOとしてF1を率いるドメニカリは、今後はバジェットキャップ違反に対してもっと厳しい罰則を科すべきだと考えているようだ。
「私は罰則を競技的なものにしたいと思っている」
そう語ったフェラーリの元チーム代表でもあるドメニカリは、『Motorsport Italia(モータースポーツ・イタリア)』に次のように付け加えている。
「その方向に進む価値はあるよ。ほかのやり方よりもね」
ドメニカリが具体的にどういうペナルティを想定しているのかはわからないが、競技に関連するものということからすれば、例えば、年間を通じて大幅なレースタイム加算ペナルティを科したり、あるいは、獲得ポイントの減算であったり、あるいは、相当量のバラスト(重し)をマシンに搭載させるといったものなのかもしれない。
実際にはそういう単純なものではないだろうが、ともあれ、700万ドルの罰金や風洞時間削減よりさらに厳しい“競技的ペナルティ”ということになれば、それはそれでかなり議論を呼ぶものになりそうではある。
■現時点ではFIAが4チームを監視中
一方、伝えられるところによれば、最近、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、現在コンストラクターズランキングで上位に位置しているレッドブル、メルセデス、アストンマーティン、フェラーリの4チームに対して、F1チームの運営とレース以外の業務に従事している子会社との間で巧妙な会計処理を行っている可能性がないかどうか監視の目を光らせていることが明らかになっている。
■ルールの抜け穴を塞ぐ必要があるとアルピーヌF1チーム代表
現在コンストラクターズランキング6番手に位置しているアルピーヌを率いるオットマー・サフナウアー(チーム代表)は、この問題について次のように語っている。
「非常に複雑なため、必然的に抜け穴が生じてしまうんだ」
「運営を進める上で我々が行う必要があるのは、こうした抜け穴のいくつかを塞ぐことだ」
「抜け穴を塞ぐ唯一の理由は、公平な競争の場を実現するためだよ」
「競争条件を公平にすることさえできれば、大きな財政力があってもそれを使えなくなるし、競技面においても少し接近してくるだろう」
「それはファンにとっていいことだし、自動車レースにとってもいいことだよ」
■公平な競技のためにはインフラの平等化も必要
一方、サフナウアーが率いるアルピーヌや、最近アレクサンダー・アルボンの活躍で勢いが出てきているウィリアムズを含むいくつかのF1チームは、風洞などの設備投資に関わる費用に関してバジェットキャップの適用緩和を求めている。
これについて、サフナウアーは次のように語っている。
「もし我々がインフラの平等化をうまく進めるとともに、存在する抜け穴をいくつか塞ぐことができれば、それは間違いなく助けになるだろう」。