今年アルファタウリで初のF1フルシーズンを戦っているルーキードライバーのニック・デ・フリースだが、そのシートをキープするチャンスがかなり小さくなってきているのは間違いない。
■アルファタウリ加入も検討可能だとリカルド
最近の報道によれば、レッドブル・レーシングとその姉妹チームであるアルファタウリのドライバープログラム責任者を務めるヘルムート・マルコが、シーズン前半終了時点でデ・フリースとの契約を解除する可能性もあるとされている。
仮にそうなった場合、今シーズン後半から角田裕毅のチームメートを務めることになるドライバーは、現在レッドブルのリザーブドライバーを務めている34歳のダニエル・リカルドとなる可能性もあると考えられている。
昨年までマクラーレンに所属していたリカルドは、それがF1トップチームへの復帰に向けた足がかりとなるのであれば、それを検討する価値はあるだろうと次のように語っている。
「もし、それでカムバックへの道が開けるのであれば、そうだね、検討することになるだろうね。なぜなら、最終的にはここに戻ってきたいと思っているからね」
■リカルドにとっては今週のタイヤテストが大きなチャンスに
一方、マルコはドイツの放送局『Sport1』からリカルドについての質問を受けると、次のように答えている。
「彼がマクラーレンから戻ってきたとき、我々は彼を評価していなかったんだ」
「だが、彼は今シミュレーターでいい仕事をしているよ」
リカルドは11日(火)からシルバーストン・サーキットで行われるピレリのタイヤテストに参加しており、そこでレッドブル2023年型F1マシン『RB19』のステアリングを握っている。タイヤテストとは言え、そこでリカルドが最新レッドブルF1マシンでどのようなパフォーマンスを見せるかによっては、リカルドのF1復帰のチャンスが膨らむ可能性はありそうだ。
■ペレスのシート喪失はないだろうとラルフ・シューマッハ
しかし、元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは、最近セルジオ・ペレス(レッドブル)が不振に陥っているとは言え、リカルドがすぐにその後任としてレッドブル・レーシングでF1復帰する可能性はないと考えている。
「現時点では、私はまだペレスが来年もレッドブルで走るだろうと思っている」
母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語った48歳のラルフ・シューマッハは、元レッドブル所属ドライバーであり、最近のレースでは力強いパフォーマンスを見せているアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)にも言及しながら次のように続けている。
「しかし、実際はそうではないが、もしアレックス・アルボンがフリーだったら、あるいはリカルドが再び自分の力を示すことができるようであれば、彼(ペレス)にとっては厳しい状況になるかもしれない。でも、彼には契約がある。だから、決別はあまり想像できないよ」
■デ・フリースにとって最後のチャンスは来週末のハンガリーGPか
リカルドがデ・フリースの後任としてアルファタウリで走る可能性があるかどうかについては、ラルフ・シューマッハもまだ半信半疑のようだ。
「あのマシンは特にいいわけではない。だが、なんとも言えないね」
「ひょっとしたら、ダニエルはそのアイデアを気に入るかもしれないよ」
かつてジョーダン、ウィリアムズ、トヨタで活躍したラルフ・シューマッハはそう語ると、次のように付け加えている。
「タイヤテストで間違いなくもう少しわかってくるだろうね」
ともあれ、今週のタイヤテストでのリカルドのパフォーマンスに加え、アルファタウリF1マシンにとっては比較的戦いやすいと考えられているハンガロリンクで行われる次戦F1ハンガリーGP(23日決勝)でデ・フリースがどのようなパフォーマンスを見せるのかによって、この2人の状況に変化が生じる可能性もありそうだ。