アルファロメオは7日(水)、マクラーレンの前テクニカルディレクターであったジェームズ・キーがチームに加わることを発表した。イギリス出身エンジニアのキーは、2023年9月1日付けで現テクニカルディレクターのヤン・モンショーに代わって、アルファロメオの新テクニカルディレクターに就任することになる。
■キー加入はアウディとのコラボに向けた布石
F1で25年以上の経験を持つキーは、2010年から2012年序盤にかけてスイスのヒンウィルに本拠を置くザウバーに所属していたことがあり、約12年ぶりに古巣チームへ復帰することになる。
現在アルファロメオという名称でF1にエントリーしているザウバーだが、2026年にはアウディのワークスチームとなることが決定しており、キーの加入はそのための布石だと考えていいものだろう。
■キーのここまでの足跡は?
1972年生まれのキーは、1998年にジョーダン・グランプリでレースエンジニアを含むさまざまなエンジニアリングを担当した後、2005年に同チームが売却されたてMF1レーシングと名前を変えた後は、33歳でF1史上最年少のテクニカルディレクターに就任している。
その後、チームがスパイカーF1、フォース・インディアと名前を変えてもずっとテクニカルディレクターとして手腕を振るっていたキーは2010年にザウバーに移籍すると、2012年からはトロロッソ(現アルファタウリ)のテクニカルディレクターを務めていた。
2019年シーズンにはマクラーレンに移籍し、この年にマクラーレンの新チーム代表となったアンドレアス・ザイドル(現ザウバーグループCEO)のもとでテクニカルディレクターとして手腕を振るっていた。だが、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年シーズンにはコンストラクターズランキング3位となったマクラーレンだが、その後は不振が続き、2022年にトップチームに大差をつけられて5位に転落。こうしたことから、キーは2023年3月に更迭され、マクラーレンを離脱していた。
7日に発表された声明の中で、ザイドルとキーはそれぞれ次のように語っている。
■アンドレアス・ザイドル(ザウバーグループCEO)
「このチームの未来を切り開くために、ジェームズをヒンウィルの故郷に迎えることができ、嬉しく思っている。かつて彼がここにいた頃とはチーム運営のやり方が大きく変わっていることに彼は気付くだろう。しかし、彼が以前経験した、チームを成功させるための意欲やコミットメントは今も変わらない。私は、この非常に優秀で献身的なチームとともに、私たちが着手した成長路線を継続していくことができると確信している」
「ジェームズの就任は、この旅の重要な一歩となる。それは、彼がテクニカルディレクターとしてだけでなく、チームの技術組織におけるさまざまな役割において、このスポーツで卓越した経験を有しているからだ。彼は、チームの技術面の変革プロセスをリードし、未来に取り組むために必要なツールと方向性を与えてくれるだろう」
■ジェームズ・キー(テクニカルディレクター/9月1日就任)
「ヒンウィルに戻り、ザウバーの新旧の同僚と一緒に仕事ができることを嬉しく思っている。私にとっては以前ここで過ごした時間が非常に愛すべき思い出になっているからだ。新しくエキサイティングな未来へ向けた、長い歴史の中で最も重要な分岐点において技術面をリードできることを楽しみにしている」
「我々の前には膨大な量の仕事が待ち受けているが、ヒンウィルで働くチームのメンバー全員が、我々を頂点に導くためのコミットメント、決意、ハングリー精神を持ち合わせていると私は確信している。それには時間と労力と忍耐が必要であり、この仕事の配当は次の2シーズン以降にしか得られないこともわかっている。だが、私は我々の前にある旅とロードマップを始めたくてうずうずしているところだ」
「アンドレアスが私を信頼してくれたことに感謝し、その信頼に報い、彼と緊密に協力して、これからの挑戦と野望に取り組むことを楽しみにしている」。