フェラーリのチーム代表を務めるフレデリック・バスールが、今シーズンには何勝かすることができると主張した。
先週末にはF1有数の伝統レースであるモナコGPが開催されたが、そこでも現F1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンが勝利を飾り、レッドブルがここまでの6レース全てを制している。
■モナコでもミスを犯したフェラーリ
一方、先週末のフェラーリは予選ではシャルル・ルクレールが3番手、カルロス・サインツが5番手につけたものの、ルクレールは予選Q3でランド・ノリス(マクラーレン)に対する走行妨害があったとして3グリッド降格ペナルティーが科されてしまっていた。実際のところ、これはルクレール本人のミスではなく、チームがノリスの位置をルクレールに伝えていなかったことが原因だった。
そして迎えた決勝では、またしてもタイヤ戦略などがうまく機能せず、ルクレールが6位、サインツが8位という結果に終わっている。
こうした結果を受けて、評論家たちの多くが、フェラーリはマシンパフォーマンスと度重なる戦略ミスの両方がまだ改善されておらず、相変わらず苦戦が続いていると厳しい評価を下している。
■「何勝かできる」と強気のチーム代表
しかし、今年からフェラーリを率いているフランス出身のバスールは今週、イタリアの記者団に対し、確かにモナコでもミスがあったものの「大失敗」と言うほどのことではなかったと主張し、次のように付け加えた。
「我々は今年、いくつかのレースで勝つことができるよ」
フェラーリは本来第6戦として予定されていたイモラ・サーキットでのエミリア・ロマーニャGPに大幅な改良パーツを装着したマシンを投入することを計画していた。
だが、エミリア・ロマーニャGPが洪水の影響で中止となったことを受け、フェラーリは先週末のモナコではその改良パーツ投入を見送り、今週末にバルセロナで行われるスペインGP(6月4日決勝)で新たなパッケージをデビューさせることになっている。
■スペインGPに持ち込む改良マシンに期待するバスール
「我々は懸命に取り組んでいるし、前向きであり続けなければならない」
先週末に55歳の誕生日を迎えたばかりのバスールはそう語ると、次のように続けた。
「我々は素晴らしい週末となることを期待しているところだ」
「我々は改良パーツを持ち込むが、だからといって自分たちの哲学を変えるつもりはない。私はパフォーマンスに関しては改善の余地があると思っている。だが、シーズンの途中でコンセプトを完全に変えてしまうのは間違いだろう」
「バルセロナで一歩前進することを私は期待している。しかし、それで改良パーツに関わるマシンの開発が終わるわけではないよ」
そう語ったバスールは、「サスペンションエリアの開発」が今回の改良の中心課題であることを認め、次のように付け加えている。
「我々が一歩前進し、ドライバーがより簡単に限界を見つけることができるような改良パーツを持ち込み続けられるよう私は願っているよ」
■ポテンシャルさえ引き出せればすぐにトップ争いができる
メルセデスはすでにモナコで新たなコンセプトを採用した改良マシンを投入しているが、フェラーリの今回の改良とメルセデスの新パッケージを比較するように問われたバスールは、次のように答えている。
「誰もが自分たちの開発と自分たちの問題に集中しているんだ。だから、各チームの改良の取り組み方を比較するのは間違いだと思うよ」
「だが、誰もが懸命に取り組んでいると思うよ」
実際、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)も数日前に、「バルセロナで何か新しいことを試すことになる」と語っており、レッドブルがさらにペースを上げてくる可能性もある。
しかし、バスールは、フェラーリはすでに上位チームのペースからそれほど離れてはいない位置にいると考えているようだ。
「そこにあるポテンシャルを引き出すことができれば、すぐにフロントローからスタートして優勝争いをすることができるだろう」
■メディアはフェラーリに対して厳し過ぎる
一方、モナコでも不本意な結果に終わったことで、フェラーリに対するメディアの批評もかなり辛辣なものになってきているが、そのことについて質問されたバスールは、次のように答えている。
「メルセデスが予選で我々の下になったとき、彼らにそれほど厳しく当たるのかどうか、私にはわからないがね」
「我々は(モナコの)予選で3番手だった。ポールポジションからはコンマ1秒、フロントローからは100分の2の差だったんだ」
「モナコでペースがなかったと言うのは、我々に対して少し厳し過ぎると思うよ。ポールポジション争いができたのは、私にとっては満足できるものだった」
そう語ったバスールは、次のように付け加えた。
「我々がペースを発揮できなかったのはレースの状況によるものだった。だが、誰も我々にペースがなかったとは言えないよ」。