2023年にフルタイムF1ドライバーとしてのデビューシーズンを迎えているアルファタウリのニック・デ・フリースだが、ここまでのところはチームが期待するパフォーマンスを見せることができていない。
今季のF1第5戦マイアミGPを終えた時点で、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、デ・フリースはあと3レースのうちに改善を示す必要があると語っており、それが達成できなかった場合にはシーズンの途中でシートを失う可能性もあることを示唆している。
■「トップ10に近づいてきている」とデ・フリース
そうした状況のもとで先週末のF1モナコGPを迎えたデ・フリースだが、ドライバーの腕が試されるモンテカルロ市街地サーキットではこれまでよりもスムーズな走りを見せ、今季自己最高位となる12位で決勝をフィニッシュしている。
「トップ10に近づいてきているみたいだね」
そう語ったデ・フリースは、次のように付け加えた。
「僕たちは何も間違ったことはしていないと思う。無理をしてはいけないということを僕は学んだし、忍耐強くなければならないんだ」
■バルセロナでのスペインGPが重要になるとフランツ・トスト
しかし、レッドブルとアルファタウリがどれだけ忍耐強くいられるかは、また別の話だろう。
モナコの決勝では初めてチームメートの角田裕毅を上回ったデ・フリースだが、これはレース終盤に降り出した雨の中でブレーキに問題を抱えた角田がミスをして順位を下げてしまったことによるものだ。
実際のところ、予選ではここまでの6レース全てでデ・フリースは角田に敗れている。
アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは、バルセロナで行われる今週末のスペインGP(6月4日決勝)を前に、スウェーデンのストリーミングサービスである『Viaplay(ヴィアプレイ)』に次のように語っている。
「彼は、バルセロナでいいレースをすることが重要だ」
「そこは、彼が非常によく知っている最初のサーキットだ。私は、我々のマシンがそこでうまく機能することを願っているし、そこで様子を見ていくよ」
■重要なのは「パフォーマンスだけ」
プロのゲーマーであり、シムレーシング(レースシミュレーション)での腕を見込まれてレッドブルのシミュレーター・ドライバーも務めているルディ・ファン・ビューレンも、バルセロナがデ・フリースにとって重要な舞台となることは間違いないと考えている。
「そう、彼は自分がバルセロナでやらなければならない仕事をわかっているよ。それが、彼の基準点になるだろう」
「それに関しては、どうにでも好きなように語ることができる。でも、最終的にはパフォーマンスを示さなければならないし、そうすればどうなるかが見えてくるだろう」
「フランツはそのことについてあまり話したがらないし、ヘルムートも明確な答えを出していない。それはニックも同じだ」
デ・フリースと同じオランダ出身のファン・ビューレンはそう語ると、次のように付け加えた。
「結局のところ、重要なのはパフォーマンスだけなんだ」。