F1モナコGPの地元プロモーターであるACM(モナコ自動車クラブ)のミシェル・ボエリ会長が更迭されることになるかもしれない。
■F1オーナーのリバティ・メディアを批判したACM会長
1972年からACMの会長を務めてきたボエリは先週、現在のF1開催契約が満期を迎える2025年を最後に、伝統的F1レースであるモナコGPがカレンダーから消えてしまうかもしれないとコメントしていた。
ボエリはその際、現在のF1オーナーであるリバティ・メディアは、伝統よりも売り上げや利益を優先していると批判し、フランスの『L’Equipe(レキップ)』に対し、「アメリカ人たちにとって重要なのはオファーだけだ」とも語っていた。
こうした状況を受け、どうやら、モナコのアルベール2世がダメージコントロールに乗り出したようだ。
■妥協点は見いだせるはずだとアルベール2世
「ステファノ・ドメニカリ(F1最高責任者)とグレッグ・マフェイ(リバティ・メディア最高責任者)は、F1の将来をどのように考えているのかを私に話してくれた」
そう語った65歳のアルベール2世は、次のように続けた。
「彼らはレースをよりダイナミックで魅力的なものにしたいと考えている。だが、モナコなしのシーズンは不可能だとも明言している」
「モナコを単にほかのサーキットと同じように扱うことはできない。もちろん、交渉の中では当事者同士が綱引きをするような難しい場面もあるし、これに関しては変えていく必要がある」
「我々にはキャンセルできない契約があるし、レースのためのスペースは限られている。しかし、私は、当事者たちが妥協点を見いだすことを確信している」
■モナコも変わる必要があるとクリスチャン・ホーナー
先週末のモンテカルロでは、F1チーム関係者たちもモナコGPの将来について懸念を表明しており、特に、現在の大きくて重いマシンではオーバーテイクがほとんど不可能であることが大きな課題だとする者が多かったようだ。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーも次のように語っている。
「今すぐにというわけではないが、この場所を長期的に存続させるためには、あらゆることが進化し続けなければならないと私は思っている」
「永遠に立ち止まっているものなどないんだ。サーキットの至るところに本当のオーバーテイクのチャンスを導入することが可能かどうか、あるいはサーキットを長年にわたって適応させることが可能かどうかを検討できれば素晴らしいだろうね」
■モナコGPの新しい時代を見据えるアルベール2世
実際のところ、スポンサーシップやレースの放送方法など、モナコGPの運営方法に関してはすでにいくつかの変更が行われている。
アルベール2世はこうしたことに言及しながら、次のように続けた。
「2025年には、主にスポンサーシップ、テレビ番組制作、商品販売などについて話し合うことで、もう一度状況を再評価することになる」
「両者ともこれに興味を持っている。モナコGPの歴史に新しい時代が始まるのだ。(バーニー)エクレストンの時代はもう過去のものだ。我々は前進し、未来に目を向けなければならない」
そう語ったアルベール2世は次のように付け加え、ボエリを更迭する可能性を示唆している。
「ミシェル・ボエリが新しい状況に適応するのが難しいと考えたことを私は責めるつもりはない。だが、今後はほかの誰かがACMの代表として交渉する方がいいかもしれない」