フェラーリのチーム代表を務めるフレデリック・バスールが、アルファタウリがローラン・メキースの加入を発表したのは少々「強引」だったと苦言を呈した。
マラネロを本拠地とするイタリアの名門F1チームでは、昨シーズン後に前チーム代表のマッティア・ビノットが更迭されたのを機に人材流出が続いている。
■それでもバスールを信頼しているとサインツ
そして、このほどレッドブルのセカンドチームであるアルファタウリが、現在チーム代表を務めているフランツ・トストが2023年シーズン後にその職を降りることを発表し、同時に現在フェラーリのレーシングディレクターを務めているローラン・メキースがその後任として新たなチーム代表となることを発表している。
かつてトロロッソ(現アルファタウリ)でトストと一緒に仕事をした経験を持つフェラーリのカルロス・サインツは、メキースがトストの後任としてのオファーに興味を示したのは間違いないだろうと認めつつ、自分としてはバスールの手腕を信頼していると次のように続けた。
「僕たちもスタッフを雇っているし、ただ人材を失っているだけというわけではないんだ」
「ただ、人材を取り戻すよりも失うことの方が早いときもあるんじゃないかな。だけど、僕はフレッド(バスール)のマネジメントに対するアプローチと、その対処方法をすごく信頼しているよ」
■実際にメキースがアルファタウリに着任するのはいつ?
アルファタウリのプレスリリースには、トストが今シーズンを最後に退任することは明記されているものの、メキースが具体的にいつ新チーム代表として着任するのかについては言及されていない。
実際のところ、メキースはフェラーリとの間に2025年末までの契約を結んでいると考えられている。
「彼ら(アルファタウリ)のプレスリリースは少し強引だったよ」
今季のF1第4戦アゼルバイジャンGP(30日決勝)が開催されるバクーでそう語ったバスールは次のように付け加えている。
「特に、契約期間が長いことを考えるとね」
■メキースの着任時期は“条件次第”
だが、バスールもメキースがいずれフェラーリを去るのはもう避けられないことだと理解している。
「彼にとっては大きなチャンスだし、我々は彼を妨害したいとは思っていないよ」
自分と同じフランス出身のメキースについてそう語ったバスールは、次のように続けた。
「F1のチームボスは10人しかいないことは私も理解している」
「(F1チーム代表に)求められることは非常に明確だし、候補者となり得る者も非常に少ないんだ」
しかし、バスールはメキースの着任日に関しては、まだアルファタウリとの合意はできていないことを明らかにしている。
「もちろん、私はここでフェラーリの利益を代表する必要がある」
「変更の詳細について話し合うときは、なによりもフェラーリが優先だよ」
バスールはそう語り、次のように付け加えている。
「だから、それは条件次第だ」
■一歩ずつ体制を整えつつあるとバスール
ともあれ、2023年シーズンもここまでかなりの苦戦を強いられているフェラーリだが、それに加えて優秀な技術者やチーム副代表でもあったメキースまで流出するという現状を考えれば、フェラーリが非常に困難な時期を迎えているのは確かだろう。
「我々は現在、新たな従業員を探しているところだ。だが、F1での採用活動は常に時間がかかり、骨の折れることなんだ」
そう続けた54歳のバスールは、次のように付け加えた。
「我々はその真っ只中におり、一歩ずつ歩みを進めているところだよ」。