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F1優勝&チャンピオンチーム経験者ペレスと2度のインディ500王者・佐藤琢磨が直接指導!角田裕毅を育てたHRSが特別講習実施

2022年11月26日(土)21:01 pm

ホンダ・サンクスデー2022の前日2022年11月26日、モビリティリゾートもてぎのマルチコースで、ホンダ・レーシングスクール(HRS)カート部門の生徒にセルジオ・ペレス(レッドブル)と佐藤琢磨が直接指導した。

■ペレスと佐藤琢磨校長が直接指導

佐藤琢磨や角田裕毅も卒業したHRSは、四輪ドライバー育成についてレッドブルとの協力関係があり、HRSのアンバサダーに就任したセルジオ・ペレスを講師に迎え、スクール生に向けた特別講習会を実施した。普段は鈴鹿サーキットで実施しているが、この日はペレスに直接指導をしてもらえるとあって、もてぎの特設コースで実施された。

朝から小雨が降りダウンコートが必要なほどの寒さの中、昼過ぎの午後12時30分から始まった特別講習。しかし、スクールのプリンシパル(校長)である佐藤琢磨だけが生徒に挨拶をしていた。

ペレスはF1最終戦アブダビGPの後に直接日本へ飛んだわけではなく、諸事情により最終的には3時間の遅刻。これには関係者も状況把握をしようと逐一連絡を取るが確認を取るたびに遅れていくことが判明。

しかし、琢磨校長やスタッフの臨機応変な対応により、模擬レースを複数回実施し、SUPER FORMULAでも活躍中の佐藤蓮も飛び入りで模擬レースに参加。パイロンで作られた狭いコースで激しいバトルが展開されたが、大きな接触はなく、佐藤琢磨校長も「3ワイド!すごいなー」と生徒の成長に笑顔を見せるほどのハイレベルなバトルを見せてくれた。

模擬レースを実施してから佐藤琢磨校長に意見を求める生徒も数人いて、その意欲的な態度を高く評価していた。そして速いドライバーと「タイム差がついた理由をしっかり考えて」「雨の日はロックしやすいから」などレーシングドライバーとして大切な具体的な技術や考え方などを余すことなく伝える。

そして予定時刻より3時間遅れてようやくペレスが到着すると早速記念撮影。ここで佐藤琢磨校長は翌日の準備のために本コースへ移動し、バトンタッチした。

ペレスは到着してからすぐに本コースでF1をテスト走行してから駆け付けており、それを生徒達はフェンス越しに食い入るように見ていた。F1をコースサイドで見られる貴重な経験だった。

■ペレスと生徒が直接対決!

そのペレスは、コース外から指導する予定だったが「僕もレースに参加するよ」と申し出て、急遽模擬レースに参加することに。生徒にとっては現役F1ドライバー、しかもチャンピオンチームでドライバーズランキング3位になったばかりのドライバーと走れる最高のレッスンになった。

ペレスは最後尾からカート左右に振りながらウェットタイヤを温め、カートの動きとグリップ感を確認。しかし、トラブルが発生し、スローダウンすると途中でピットイン。そこで一度はヘルメットを脱いだが、「もう一台に乗り換えられないの?」とレース続行を希望。そしてカートを乗り換えてコース復帰。しかし、ちょうどチェッカーフラッグが振られてしまった。

生徒はピットインするが、ペレスだけが単独走行することに。それを生徒達はしっかりと目に焼き付けていた。

■ペレス、貴重な経験を惜しみなく伝える

ペレスがカートを降りてから、生徒達は覚えたばかりの英語を駆使して直接質問する機会も用意されていた。

ペレスを囲む生徒達はたどたどしい英語ながら少しでも何かを得ようと質問していく。最初に囲まれた際、「英語でのコミュニケーションは大事だよ」「みんなヨーロッパのカート選手権には出るの?」など貴重な生のアドバイスを次々と与え、生徒は真剣に耳を傾けた。

模擬レース後、生徒達は練習してきた英語でいくつかの質問をした。「F1ドライバーに必要なことは何ですか?」「レース前には何かしていることはありますか?」「これまでどのカテゴリーが大変でしたか?」など、生徒達の目標が「F1」「世界」「プロ」であることが伝わってきた。

ペレスは「いい質問だね」と1つずつ丁寧に答えていき、特別講師としての役割を十分に果たしたようだった。

いくつかの質問は生徒達の特権だと思うが、その中でも「レース前は首や肩など柔軟体操をして頭の反応速度を上げるようにしているよ」など具体的なペレスなりの対策を伝えた。

さらに苦労話としては、「15歳でメキシコからヨーロッパに渡った時のフォーミュラBMWが大変だった。初めての知らない土地で不安だったし、ライバルはサーキットをよく知っているけど僕は何も知らない。強敵チームは3台体制だったけど僕は小さなチームで1台で不利だった」など苦労話を思い出しながら伝えていく。

そして最も大切なのは「絶対に諦めないことだ」と力強く伝えた。

ペレスは大きなスポンサーが支援してくれたという運の良さも事実だが、当然ながら努力し続けてきた。F1に上がってからは中堅チームで苦労し続け、マクラーレンに乗るも結果を出せずにすぐに中堅チームへ舞い戻るという悔しい思いもしている。そしてシート喪失の危機の時には運良くレッドブルのシートを掴み、ようやくトップチームで安定して走れるまでに成長した。そんなエリート街道ではない苦労人ペレスが生徒達に伝える言葉には重みがあった。

F1優勝経験者のペレス、そしてインディ500を2度制覇した佐藤琢磨校長の考え方や取り組み方を若い頃から得られるHRSの生徒の中から、次の角田裕毅が生まれることを期待したい。

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