メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、猛威を振るうバジェットキャップ・スキャンダル(予算超過問題)において“被害者”を演じているクリスチャン・ホーナー代表をあざ笑い、非難した。
■フェルスタッペン、ファンから「不正行為」と罵声
ペナルティはまだ決まっていないが、レッドブルの2021年予算超過はオースティンのパドックではマックス・フェルスタッペンがファンイベントで「ズルイ」という罵声を浴びるほどホットな話題となっている。
メルセデスのチーム代表であるヴォルフは、「これは受け入れがたい」と述べた。
「表彰台であろうと、ファンとのイベントであろうと、誰もそんなことは見たくない。F1の誰もがこの行為に反対していると思う」。
■マクラーレン代表の「不正行為」という言葉遣いのせいでレッドブル従業員の子どもがいじめられている
しかし、ホーナーはレッドブルのライバルであるマクラーレンの最高責任者ザク・ブラウンがFIA会長に宛てた手紙の中でこの言葉を使い、「不正行為」説が強まっていると言う。
「ザックの手紙は非常に残念だ」とレッドブルのボスは語った。
「同じ競争相手から不正行為だと非難されるなんてショッキングだ。我々はシンガポール以来、世間の非難を浴びて裁判沙汰になっているのだからね」
「そして、不正行為という言葉遣いは、メンタルヘルスの普及が叫ばれる時代にあって、今、私たちは労働力の中で重大な問題を目の当たりにしているんだ。遊び場でいじめられている子供が、従業員の子供であることが分かってきている」とホーナーは述べた。
「他のチームからの架空の申し立てによるもので、これは正しいことではない。我々は、一部の競争相手の行動にはまったく呆れるばかりだ」
■メルセデスF1代表「笑いすぎて涙が出そう」
しかし、メルセデスのボスであるヴォルフは、ホーナーの見解を一笑に付した。
「涙が出そうになったよ」と、皮肉たっぷりに語った。
「彼はある種の逆転した心理学を示している」とヴォルフはアメリカGPを前に『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に語った。
「ここで疑問が生じてくる。この状況で、改めて被害者は誰なのだろうか?私は、今議論しているチーム(レッドブル)ではなく、他の9チームだと思うね」。
■グロージャン「レッドブルは罰せられるべき」
一方、レッドブルの過剰支出の大部分は、スペアパーツの分類、ケータリング費用、さらには給与の傷病手当といった項目に関するものであるようだ。
だが、元F1ドライバーのロマン・グロージャンは『L'Equipe(レキップ)』に次のように語った。
「レッドブルが経費を使いすぎたのなら、彼らは不正を働いたんだよ」
「彼らはルールを尊重していなかったのだから、罰せられるべきだ」と見解を述べた。
■ホーナー、早期解決を願うも半年以上かかる可能性も
レッドブルは金曜日に予定されていたこの件に関する記者会見をキャンセルし、FIAとのさらなる話し合いに臨んだが、ホーナーはオースティンでこの状況が解決されるかもしれないと希望を語った。
「それが実現しない場合、次のプロセスはコストキャップ管理委員会に移行し、さらにその先には国際控訴裁がある」と彼は述べた。
「だから、あと6カ月、9カ月と長引く可能性があるが、それは我々の意図するところではない」と語った。
■フェラーリのような“秘密”の取引ではなく透明化される
しかし、フェラーリの違法な2019年型エンジンをめぐるFIAとの“秘密”の取り決めとは異なり、結果は完全に透明化されると彼は述べた。
「プライベートな、秘密の取引はないだろう」とホーナーは言う。
「これは以前の状況とはまったく異なるものだ」
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、2023年のペナルティは高額な罰金と風洞時間の25%短縮になるだろうと見ている。