今週末には2022年F1第19戦アメリカGP(23日決勝)が開催されるが、その舞台となるオースティンのCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)では、2021年のバジェットキャップ(チーム予算上限)をオーバーしていたレッドブルにどのようなペナルティが科されるのかが大きな話題となるのは間違いなさそうだ。
■“罰金以上”のペナルティも予想されるレッドブル
これまでに伝えられたところによれば、レッドブルは年間1億4500万ドル(現在のレートで約217億円)と定められていた2021年のバジェットキャップを超える支出をしていたことが確認されたものの、その程度は5パーセント未満の“軽微”なものだったと考えられている。
そして、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、この違反に対してどのようなペナルティを科すかについて現在“密室”で話し合いを行っているところだ。
少し前までは、レッドブルには罰金が科される程度だろうと報じられていたが、最近では、2021年のポイント剥奪などを含むかなり厳しいペナルティが科される可能性もあると考えられるようになってきている。
実際のところ、以前からレッドブルとは良好な関係にあった元F1最高責任者のバーニー・エクレストンでさえ、実際に下される処罰は単なる罰金よりも「悪い」ものになるだろうとコメントしている。
■「明確な処罰」が必要だとマクラーレンF1チーム代表
こうした中、今週にはマクラーレン・レーシングのCEOを務めるザック・ブラウンが、FIA会長のモハメド・ベン・スレイエムに手紙を書き、レッドブルの「不正行為」を非難したことが明らかになっている。
そのブラウンの下でマクラーレンF1チームの代表を務めているアンドレアス・ザイドルは、このほどドイツのスポーツ専門誌『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語った。
「この出来事はスポーツに悪い光を投げかけているよ」
「明確な違反は明確に罰せられなければならない」
だが、かつてWEC(世界耐久選手権)でポルシェを栄冠に導いた実績を持つザイドルも、まずは「誰かがケータリングに過剰な費用を費やしたのか、それともクルマの性能面で明らかな優位性を得たのか」を明らかにする必要があると認めている。
■FIAは対応策を講じるべきだとハースF1チーム代表
また、小規模予算F1チームとして知られるハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーも、ドイツのテレビ局『RTL』に次のように語っている。
「レギュレーションがあるのだから、それに従わなければならない」
「結果が伴わなければならないんだ」
しかし、シュタイナーも、レッドブルがどの分野で過剰な支出をしたのか、そしてそれが“軽微”だとされる5パーセント(それでも700万ドル=約10億円だ)にどれだけ近い額だったのかは知らないと認めている。
「FIAは対応策を講じなければならないと私は思っている」
「明日である必要はないが、将来に向けて、誰もそうすることはできない、あるいは、規則を破っても罰金を払うことで有利になることはない、というサインを出すためにこの問題に取り組む必要があるんだ」
そう述べたシュタイナーは、次のように付け加えている。
「しかし、どのようにアプローチするかは慎重に考えなければならないと思っているよ」