先週末にシルバーストンで行われた今季のF1第10戦イギリスGPで、ミック・シューマッハ(ハース)がついに初のポイントを獲得した。23歳のシューマッハにとってはF1通算31戦目にして初めて手にした4ポイントだ。
実際のところ、これまでポイントに手が届かないレースを送っていたシューマッハに関しては、今年限りでハースのシートを失う可能性もあるとの噂もささやかれていた。
しかし、シルバーストンで8位入賞を果たし、初ポイント獲得というひとつの壁を乗り越えたことから、そのプレッシャーから解放されたシューマッハが今後は定期的にポイントを獲得できるようになり、その結果としてシートもキープすることができるだろうという楽観論も出てきているようだ。
■8位で大喜びするわけにはいかないとハースのボス
しかし、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、シューマッハ関係者もメディアも喜ぶのは控えめにしておくべきだと考えているようだ。
シュタイナーは、先週末のシルバーストンでドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』に対し、次のように語っていた。
「8位でフィニッシュしたいと言うわけにはいかないんだ」
「それが目標ではないからね。だから、次の目標は表彰台だよ」
「ドライバーたちはみんな人間だし、ほかにも素晴らしいドライバーが19人いる。そして、いいクルマを持つ9チームがあるんだ」
■1度の成功でプレッシャーが消えるわけではない
シュタイナーは、意気消沈することと喜びにあふれることのバランスをうまく取ることが常に自分の目標だと語っており、シューマッハの初ポイント獲得を大げさに喜ばないことが今は大切なのだと考えているようだ。
「まさにそれが私の意図するところだよ。前向きな意味でね」
「1回成功したからといって、それでプレッシャーを取り除くことはできないんだ」
「地に足をつけて落ち着いていること、外部からミックにプレッシャーをかけ過ぎないようにすることが大事だし、これからも常にそうでなくてはならない。そうでなければ、また何も達成できなかっただろう」
「だが、今後は彼ももっとやりやすくなると思う。すでにカナダ(第9戦)では彼もそれほどのプレッシャーは抱えていなかった。だから、こういうふうに続けていかなければならないよ」
そう主張した57歳のシュタイナーは次のように付け加えた。
「しかし、彼を持ち上げておいて、また放り出すようなことを、我々はしてはならないんだ」
■シューマッハの契約問題の答えはしばらく先のことに
また、ドイツの別の放送局『n-tv』から、シューマッハが初ポイントを獲得したことによって契約延長の可能性が膨らんだと考えていいのかと質問されたシュタイナーは、次のように答えるのみだった。
「チームとして、我々はこれまで夏休みが終わるまでにドライバーを確定することもあれば、しないこともあったよ」
ともあれ、シューマッハが2023年もハースで走ることになるのかどうかが明らかになるのは、もうしばらく先のことになりそうだ。