パキスタン系イギリス人レーシングドライバーのイナーム・アフメドが、現在停職処分を受けているレッドブルのジュニアドライバーであるユーリ・ビップスを擁護した。
■不適切発言により停職処分が科せられたレッドブル・ジュニアドライバー
エストニア出身の21歳のビップスはレッドブルの育成ドライバーとしてF2選手権に参戦しており、現在はランキング6番手に位置している。今季のF1第6戦スペインGPではレッドブルからフリー走行1回目に出走するチャンスが与えられるなど、将来が期待されている若手ドライバーのひとりだ。
だが、レッドブルは22日(水)に声明を発表し、『Twitch(ツイッチ)』でのライブストリーミング中に発生した事件を調査する間、ビップスを停職処分としたことを明らかにした。
伝えられるところによれば、ビップスは『Call of Duty(コール・オブ・デューティ)』というビデオゲームをオンラインでプレイ中に何気なく“Nワード”(黒人に対する差別的呼び方)を口にしていたようだ。さらに、その後、自分はピンクの帽子は被りたくないと語り、その理由を問われると「それはゲイだから」とジョークを飛ばしたという。
■厳しい反応を示すレッドブルと所属F2チーム
ビップスはその後、ソーシャルメディア上での自分の「許されない」言葉について謝罪している。
だが、レッドブルは声明の中で、「我々は、組織として、あらゆる種類の虐待を非難し、組織内での人種差別的な言動に対していかなる違反も許さないという方針をとっている」と述べている。
さらに、現在所属しているF2チーム(ハイテック・グランプリ)のオーナーであるオリバー・オークスは「ショックで愕然としている」と述べ、次のように付け加えている。
「ユーリの発言は不快であり、全くハイテックの包括的な価値観を反映するものではない」
■発した言葉は間違いだがビップスは人種差別主義者ではないとアフメド
こうした中、現在はアメリカのインディ・プロ2000選手権に参戦しているパキスタンとイギリスの二重国籍を持つアフメドは、ビップスは人種差別主義者などではないと主張している。
以前からビップスのことをよく知っているというロンドン生まれのアフメドは次のように語った。
「ユーリが言ったことは間違っているよ」
「でも、僕の個人的な経験から言うと、彼はこれまで一度も僕に人種的差別をしたことはないよ」
「僕はこれまでの人生を通じてテロリストとか自爆テロ犯などと呼ばれてきたし、僕の国や宗教には多くの人種的既成概念がある。だけど、僕がユーリと知り合ってから何年か経つけれど、彼は僕に一度もそういう冗談を言ったことがない数少ない人たちのひとりなんだ」
そう語った22歳のアフメドは次のように付け加えた。
「僕は人種差別とはどういうものかを知っている。そして彼はそうではない。僕が言いたいのはそれだけだよ」。