2022年にルイス・ハミルトンが抱えている問題は、競争力のないメルセデスF1マシンだけにはとどまらないようだ。
■ハミルトンとラッセルは“モチベーション”に違いがあるとニキ・ラウダの息子
かつてメルセデスの非常勤会長を務めていたニキ・ラウダの息子であるマティアス・ラウダは、これまで7度F1チャンピオンに輝いた実績を持つハミルトンが今年「不機嫌」なのは、ジョージ・ラッセルのせいでもあると示唆している。
「彼(ハミルトン)は中団で走らざるを得ないという本当に困難な時期を過ごしている」
母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』にそう語ったラウダは次のように続けた。
「まだ序盤だが、ここまでのところルイスは問題しか抱えていない。一方、ジョージ・ラッセルにとっては、ファクトリーチームでの全てが新鮮なんだ」
「ルイスは2021年には最終戦の最終ラップでタイトルを失っており、今はモチベーションが違っているのだと思う。そして、ラッセルは非常にやる気があるように見えるし、いい仕事をしているよ」
■ラッセルの活躍がハミルトンを苛立たせているとラルフ・シューマッハ
元F1ドライバーのラルフ・シューマッハも、24歳のラッセルの加入がハミルトンを不安にさせているのは間違いないと考えているようだ。
シューマッハは、昨年までハミルトンのチームメートを務めていたバルテリ・ボッタス(現アルファロメオ)を引き合いに出しながら『formel1.de』に次のように語っている。
「ハミルトンは、ラッセルがボッタスとはまったく異なる資質を持っていることに気づいているよ」
「ラッセルは常にチームの仲間を励ましている。ハミルトンと同じようにね。彼は今、チームメートと同じ池で釣りをしているんだ」
「ラッセルの方が今の状況にうまく対処しているのがわかるし、それがルイスをイライラさせているのは間違いないよ。ルイスは明らかに自分本位だが、ドライバーなら誰でもそうだ。私もそうだったよ」
「しかし、ルイスはクルマの中で本当に大変な思いをしているし、文句ばかり言っている。彼はうまくいっている時にもそうするが、今回は本当に困難な時を過ごしているよ」
■ハミルトンはアクセサリー禁止問題にこだわり過ぎ?
一方、ラウダはハミルトンがマシンに乗る際のアクセサリーの着用問題についてFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)と戦うことで頭の中がいっぱいになっているようだと考えている。
FIAは安全上の理由により、ドライバーがF1マシンに乗る時にアクセサリー類を身につけることを禁止したが、ハミルトンはこれに真っ向から立ち向かっている。
FIAは、ハミルトンの鼻ピアスなどがすぐにはずすのが困難であることを認め、先週末の第5戦マイアミGPと来週末に行われる第6戦スペインGP(22日決勝)の2レースに限って例外的にハミルトンのピアス装着を認めることにしている。
しかし、伝えられるところによれば、FIAの新会長であるモハメド・ベン・スレイエムは、もしハミルトンが第7戦モナコGP(29日決勝)以降もこのルールに従わなければ、ペナルティを与えると主張しているという。
「なぜ彼はレース後すぐにアクセサリーをつけ直すことにしないのだろう?」
そう語ったラウダは次のように付け加えた。
「FIAがルールを定めたわけだし、それは、たくさんのレースシリーズで同じように適用されなければならないんだ」。