ヘルムート・マルコ(レッドブル/モータースポーツアドバイザー)が、フェラーリがレッドブルのF1マシン開発予算のことを心配する必要はないと主張した。
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■レッドブルの開発スピードに驚くフェラーリ
今シーズン序盤には優勢を誇っていたフェラーリだが、第4戦エミリア・ロマーニャGPと第5戦マイアミGPでは明らかにレッドブルF1マシンのパフォーマンスが向上。フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、限られた予算の中でレッドブルがこれほど急速にばん回してきたことに驚かされたと認めている。
「懸念があるとすれば、バジェットキャップがある中で、彼らがどれだけ開発しているのかということだ」
「間違いなくそれが問題だ」
そう語ったビノットは、このままのペースでレッドブルがマシンの開発を進めていけば、どこかでバジェットキャップ(チーム予算上限)にひっかかるはずだと主張し、暗にレッドブルが今年のバジェットキャップを本当に守るかどうかわからないと示唆している。
もちろん、フェラーリも手をこまねいて見ているだけではない。フェラーリでは来週末にバルセロナで行われる第6戦スペインGP(22日決勝)には、新しいフロアや形状を変更したサイドポッドなどを導入するとともに、これまでよりも軽量化が図られたマシンを投入することになると伝えられている。
■フェラーリ最大の欠点は空気抵抗だとミナルディ
こうした中、元F1チームオーナーのジャンカルロ・ミナルディは、母国イタリアの『OA Sport(オア・スポルト)』に次のように語った。
「レッドブルがコンスタントに導入してきた開発をうまく利用したのは明らかだ」
「フェラーリはまだ新しいパーツを何もマシンに施していない」
そう語ったミナルディによれば、現在のフェラーリの最大の欠点は空気抵抗がかなり大きいことだという。
ミナルディはさらに、「彼らはグラウンドエフェクトもあまりうまく利用しておらず、マシンは空力的な跳ね返りに悩まされている」と語り、次のように続けた。
「それがタイヤに大きな影響を及ぼしているんだ。我々はそれをマイアミで目にすることができた」
「フェラーリの解決策がどれだけ効果的なのか、これから見ていかなければならないだろう」
ミナルディは、レッドブルに問題があるとすれば、それは「攻撃的」と言えるほどのスピードで開発を進めたことにより、信頼性の問題が繰り返し発生していることだし、その一方で、フェラーリには「事故以外の問題はない」と付け加えている。
■バルセロナでは車重問題の解決も期待されるレッドブル
一方、今のペースで開発を進めていけばバジェットキャップを超えることになるのではないかとの懸念も出ているレッドブルだが、マルコはスペインGPでも新たなパーツを投入するつもりだと『f1-insider.com』に次のように語っている。
「バルセロナでも新しいパーツを投入するし、ついに最適な重量に到達するだろう」
「これまでのところ、要求されている最低重量798キログラムをかなりオーバーしていたんだ」
■予算に関してはフェラーリと同じ立場だとマルコ
マルコはさらに、レッドブルがマシン開発を続けることでバジェットキャップを超えてしまうのではないかとフェラーリが心配する必要はないと主張している。
「我々とフェラーリは同じ立場にあるんだ」
「我々はこれからもすごい戦いになると思っているし、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)がすべてがうまく運ぶようにするはずだと確信しているよ」
そう語った78歳のマルコは次のように付け加えている。
「それぞれのサーキットで、自分たちのパッケージから最高のものを引き出すことができるかどうかによって違いが生じることになるだろうね」。