今年1月にアストンマーティンの新チーム代表に就任したマイク・クラックが、BMWがF1参入を目指すことはないだろうと語った。
アルピーヌ移籍が噂されている前チーム代表オットマー・サフナウアーの後任としてアストンマーティンに加わったクラックは、それまではBMWのモータースポーツ責任者を務めていた人物だ。
新たなF1エンジンレギュレーションが導入される予定となっている2026年にはドイツのフォルクスワーゲンの傘下にあるアウディとポルシェがF1に参入する可能性が高いと言われているが、同じドイツのBMWもF1参入を検討しているのではないかと質問されたクラックは次のように答えた。
「BMWは常にF1で起こっていることに目を向けているよ」
「だが、現時点ではそれ(F1参入)が検討課題になっているとは思っていないよ」
かつてはエンジンサプライヤーとしてF1活動を行っていたことがあるBMWだが、スイスに拠点を置くザウバーを買収し、2006年から2009年までBMWザウバーとしてワークスチームでF1参戦をしていたことがある。
そして、そのときにBMWザウバーのチーフエンジニアを務めていたのがクラックであり、2007年にBMWザウバーでF1デビューを飾ったセバスチャン・ベッテルと再びアストンマーティンで一緒に仕事をすることになったわけだ。
ルクセンブルク出身の49歳のクラックは、ベッテルとは「いい関係」にあることを認めたものの、今回のアストンマーティン加入にあたってベッテルの働きかけがあったのかと質問されると笑いながら次のように答えた。
「私は知らないよ。私はそこにはいなかったしね。それについては彼に直接聞いてよ」
だが、クラックは、チーム代表としてアストンマーティンを率いることが非常に大きな挑戦であることは認めている。
「その通りだよ。そして、私を指導してくれる前任者もいないわけだからね」
「私がプレッシャーを抱えるのはわかっている。しかし、何をおいても、それがチーム全体に広がらないように私がそれを吸収しなくてはならないんだ」
そう語ったクラックは次のように付け加えた。
「私は常にモータースポーツから企業環境全体をできるだけ遠ざけようとしてきた。そうしないと、どうすればいいかわからないことに対処しなければならなくなったとき、スペシャリストを失ってしまうんだ」