マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレアス・ザイドルが、ランド・ノリスをチームのナンバー1ドライバーとして処遇するわけではないと主張した。
今年も昨年に引き続き22歳のイギリス人ドライバーであるノリスと、32歳のオーストラリア人ドライバーのダニエル・リカルドのコンビで戦うことになるマクラーレンだが、先週ノリスと2022年から2025年までの4年間に及ぶ新契約を締結したことを明らかにした。
伝えられるところによれば、この契約によりノリスの年俸はリカルドのそれを上回ることになるという。
レッドブル時代に通算7勝をあげた実績を持つリカルドは、2019年から2年間をルノーで過ごした後、2021年にマクラーレンに移籍。マクラーレンが、すでにF1トップドライバーとしての定評を得ていたリカルドに大きな期待を寄せていたのは確かだ。
しかし、マクラーレンの2021年型F1マシンになかなか馴染むことができなかったリカルドは苦戦を強いられ、第14戦イタリアGPで移籍後初勝利をあげたものの、ドライバーズランキングでは6位のノリスに及ばず、8位でマクラーレンでの最初のシーズンを終えている。
こうしたことから、マクラーレンが今後若いノリスを中心に据えたチームづくりをしていくことを目指しているのは明らかであり、リカルドは事実上のナンバー2ドライバーという立場に甘んじることになると考えているF1関係者も多いようだ。
だが、2019年5月からチーム代表としてマクラーレンを率いているザイドルはこうした声に対し次のように語った。
「マクラーレンにナンバー1ドライバーがいるかどうかを知りたいのであれば、私の答えはノーだよ」
「私の仕事は、チーム全体が一丸となって、両方のドライバーに平等なチャンスを与え、彼らがお互いに競争することができるようにすることだ」
しかし、ザイドルが2021年に3回表彰台に上り、ポールポジションも1回獲得するという素晴らしいパフォーマンスを見せたノリスを高く評価しているのは事実だ。
「当然、我々はこれほどのドライバーを可能な限り長くマクラーレンにキープしたいと思っていたよ」
かつてWEC(世界耐久選手権)でポルシェを3連覇に導いた実績を持つザイドルはそう語ると次のように付け加えた。
「また、この3年間でランドがマクラーレンにとって素晴らしいブランドアンバサダーであることも目にしてきたし、それも非常に重要なことなんだ」
イギリスの名門F1チームであるマクラーレンにとって、母国出身ドライバーのノリスがいることによりマーケティング的にも大きな効果を生じるのは確かだろう。
今年は新たな技術レギュレーションの導入によりF1マシンが昨年のものとは大きく変わることになる。その新しいマシンでノリスとリカルドがどのようなパフォーマンスを見せるのかも非常に興味深い今年の注目ポイントになりそうだ。