2021年のF1も残すところあと5戦となったが、ランキングトップに立っているマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を12ポイント差で追う立場となっているルイス・ハミルトン(メルセデス)にとって最も頭が痛いのはエンジンの信頼性問題かもしれない。
今季のメルセデスF1エンジンは信頼性に不安を抱えており、来季アルファロメオへ移籍することが決まっているバルテリ・ボッタスはすでに年間規定数を超えるエンジンコンポーネント投入によりこれまでに3レースでグリッド降格ペナルティを受けている。
「今では何が起こっているのかをよりよく理解しているが、望むようにエンジンを動かすことができないでいる」
そう認めたメルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフは次のように付け加えた。
「そして、DNF(リタイア)のリスクを冒すわけにはいかないんだ」
メルセデスにとって最大の懸念は、ボッタスと同じように、ハミルトンにもさらなるグリッド降格ペナルティを受ける可能性があることだ。ハミルトンも第16戦トルコGPで今季4基目となるICE(内燃機関)を投入して10グリッド降格ペナルティを受けているが、それ以外のエンジンコンポーネントは規定内のものを使い続けている。
仮に、残りの5レースのどこかで新たなエンジンコンポーネントを投入してグリッド降格ペナルティを受けることになれば、それがハミルトンのタイトル争いにおいて致命傷となってしまう可能性もある。
「ああ、もちろん心配しているよ」と語ったヴォルフは、次のように続けた。
「ルイスにもまた(エンジンを)替えなくてはならないというリスクがある」
「我々はエンジンを使い続けて故障のリスクを負うか、あるいは新しいパーツを投入してペナルティを受けるか、そのバランスを検討しているところだ」
果たしてメルセデスが今後どこかのレースでハミルトンのエンジンを交換することになるのか? あるいはリスク覚悟で最後まで交換なしで乗り切ることにするのか?
その答えは来週末からの3連戦、第18戦メキシコGP(11月7日決勝)、第19戦ブラジルGP(同14日決勝)、第20戦カタールGP(同21日決勝)で見えてくるかもしれない。