レッドブルは、18日(日)に行われた今季のF1第10戦イギリスGP決勝でポイントリーダーであるマックス・フェルスタッペンとの接触事故を起こしたルイス・ハミルトン(メルセデス)に対してなされた裁定に異議を唱えるかどうかを検討しているようだ。
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シルバーストン・サーキットで行われたイギリスGP決勝はレッドシグナルが消えた直後からポールポジションからスタートしたフェルスタッペンと2番グリッドからスタートしたハミルトンの激しいバトルが展開された。
そしてコプスと呼ばれるターン9に並ぶようにして2台が進入した際、ハミルトンの左フロント部とフェルスタッペンの右リアタイヤがぶつかってしまう。そして右リアサスペンションが一瞬にして破壊されてしまったフェルスタッペンのマシンはハイスピードを保ったままコースを飛び出し、タイヤバリアに激突してしまった。
そのときフェルスタッペンが受けた衝撃は51Gに達するものだったと言われており、一時的にめまいを起こしたフェルスタッペンはそのまま病院へと搬送された。幸い、フェルスタッペンには打撲以外に大きなけがはなく、すでに病院をあとにしている。
FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)から委託されたこのレースの競技委員たちは、ハミルトンに非があったとして10秒ペナルティと2ペナルティポイントを科した。しかし、ハミルトンはレース中にその10秒ペナルティを消化すると、終盤にはそれまでトップを快走していたフェラーリのシャルル・ルクレールをとらえて今季4勝目を達成。
フェルスタッペンがノーポイントに終わったことにより、イギリスGP開幕前には32ポイントあったフェルスタッペンのリードは一気に8ポイントにまで縮まってしまっている。
病院のテレビでハミルトンが表彰台で喜ぶ姿を見ていたフェルスタッペンは、それは「失礼かつスポーツマンらしからぬ」ものだったと非難している。
さらにフェルスタッペンは、ハミルトンに与えられた10秒のタイムペナルティはあまりにも軽すぎたし、コース上で危険な動きをしたドライバーに対する処分としては正当性に欠けるものだったと主張している。
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、レッドブルが今回のハミルトンに対する裁定に関して異議申し立てを行うことを考える可能性もあると次のように語っている。
「彼らは利用できるものは全て使おうとするだろうね」
「どうなるかは様子を見ることになるが、ルールブックを開けば一目瞭然だと思うよ」
こうした中、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、ハミルトンには1レースの出走禁止処分が相応しいと考えていることを明かしている。
「ドライバーが自分の前輪を後輪に激しくぶつけた場合、これはもはやレーシングアクシデントではなく、不注意かつ危険な行為だよ」
「だから、ここで適用されるのはもはやこのスポーツにおける通常のペナルティではなく、違う裁定をしなくてはならない。ハミルトンが計算違いをしていたのかどうかは分からない。だが、競技ルールには今回のものにはあてはまらない特定のペナルティがあるだけだ」
フェルスタッペンの父親であり自身も元F1ドライバーであるヨス・フェルスタッペンももちろん激怒している。
「あの場所でハミルトンがしたようなことをやってはならないよ。10秒ペナルティなど、本当にふざけていると私は思う。観客に危険が及ぶ可能性もあったんだ」
母国オランダの『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』にそう語ったヨス・フェルスタッペンは次のように付け加えた。
「私に言わせれば、彼ら(F1競技委員)は彼(ハミルトン)を失格とすることもできたはずだよ」
一方、レッドブルでは本当にFIAに対して今回の裁定に対する異議申し立てを行うつもりがあるのかと質問されたチーム代表のクリスチャン・ホーナーは次のように答えている。
「我々にはいくつか行使できる権利がある。しかし、残念ながら、競技委員たちは自分たちの判断は確固たるものだと考えているようだ」
「最終的には意味をなさないかもしれないが。それでも話し合い、検討してみるつもりだ。私としては、レースに勝つならペナルティではないと言うつもりだよ」
しかし、FIAのF1レースディレクターを務めるマイケル・マシは次のように語り、今回のクラッシュは必ずしもハミルトンだけに責任があったわけではないと示唆している。
「回のケースでは、競技委員たちはルイスに責任の大半があると判断したが、彼だけの責任ではなかったよ」
しかし、もちろんレッドブル側はそれで納得することはできないようだ。
「現在、ルールにどういうオプションがあるのか、もう一度証拠を見直しているところだ
「我々から見れば、この問題は非常に明確だよ」
ホーナーはハミルトンが祝っていたのは「空虚な勝利」にしか過ぎないと主張している。
一方、ヴォルフは今回のクラッシュも「レースの一部」に過ぎないと母国オーストリアのテレビ局『ORF』に次のように語った。
「あのような事故は常に見栄えはよくないものだ。しかし、ルイスはマシンの真ん中を過ぎていたんだから、あのコーナーは彼のものだったんだ。それがルールだし、読めば分かるよ。そこには図も示されているからね」
「ルールブックによれば、どのような罰も正当ではなかったよ」
そう述べたヴォルフは次のように付け加えている。
「それによって気分を悪くする人たちもいるだろうが、そういうものなんだよ」