元F1最高責任者のバーニー・エクレストンが、今年もルイス・ハミルトン(メルセデス)が楽々と通算8回目のF1タイトルを手にすることになるだろうと語った。
バーレーンで行われた2021年F1プレシーズンテストではレッドブル・ホンダが王者メルセデスをしのぐパフォーマンスを示したことから、マックス・フェルスタッペンが今年のタイトル獲得最有力候補だと大方のメディアが予想していた。
だが、実際にシーズンが蓋を開けてみれば、ここまでの4レースでハミルトンが3勝、フェルスタッペンが1勝と、そうした予想を大きく覆す結果となっている。
こうした状況を受け、メディアの見方も変わってきているが、とりわけ、ミハエル・シューマッハと並ぶ通算7回のF1ドライバーズタイトル獲得記録を持つハミルトンの力を再認識する声が多くなっている。
たとえば、スペインの日刊スポーツ紙である『AS』は次のように報じている。
「フェルスタッペンには将来がある。しかし、疑いなく現在はまだハミルトンのものだ」
また、スイスの『Tages-Anzeiger(ターゲス-アンツァイガー)』紙は、「フェルスタッペンはすべてうまくやっている。ルイス・ハミルトンを最初のコーナーでオーバーテイクした。それでもスペインGPで勝てなかった」としている。
イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』も次のように報じている。
「ルイス・ハミルトンに対する最上級の言葉はすでに使い尽くしている」
「マックス・フェルスタッペンはこれ以上どうすればいいのか? ハミルトンは彼のメルセデスF1マシンを負けることのない方法で走らせている」
さらに、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』も次のように指摘している。
「違いを生んでいるのはハミルトンだ。なぜなら、ボッタスの結果は彼にはマックスを倒すことができなかったことを示しているからだ」
2016年シーズンまでF1最高権威の座にあったエクレストンも、今年のタイトル争いの行方はもう見えたと考えているようだ。
「このスポーツには今、かつてセナとプロストがそうであったように再び2人の拮抗したドライバーがいる」
90歳のエクレストンはスイスの『Blick(ブリック)』紙にそう語ると次のように続けた。
「しかし、残念ながら、オランダから来たファイター(フェルスタッペン)のサポーターにはもう希望はない。なぜなら、ハミルトンがこれまで以上にいいドライビングをしているからだ」
「それに、フェルスタッペンのおかげでもあるが、今のルイスは完璧だし、冷静で賢い。彼はトラブルに巻き込まれることなく常に相手にスペースを与え、生き残るために必要な敬意を払っているよ」
エクレストンは、今のハミルトンの強さの秘密は、個人的な生活とプロのドライバーとしての生活のバランスをうまくとることができていることにあると考えている。
「それらすべてが、コックピットに収まった彼をさらに強くしているんだ」
「マックスはドライビングスキルに関しては彼と同等だろう。だが、ルイスはよりよいチームとより信頼できるマシンに支えられており、それらを常に頼りにすることができている」
そう語ったエクレストンは次のように付け加えた。
「何か奇妙なことでも起こらない限り、ルイスは苦もなく8回目のF1王座に就くだろう」