FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)のF1レースディレクターを務めるマイケル・マシが、今シーズンの途中でペナルティーポイントの運用ルールを見直すつもりはないと断言した。
新型コロナウイルスの蔓延により開幕が7月にずれこんだ2020年のF1だが、レースを重ねるごとにドライバーの中から現在のペナルティーポイントの運用に対する不満の声があがるようになってきている。
ペナルティーポイントとは、ドライバーが何らかの違反を行った際に科される罰のひとつであり、過去1年間のペナルティーポイントが合計で12ポイントに達すると、そのドライバーは次のレースで出走禁止となる取り決めとなっている。
だが、2020年にはトラックリミットに関する監視が非常に強められており、各サーキットの所定のコーナーにおいてドライバーが定められた基準を超えてコース外にマシンをはみ出させることが厳しく取り締まられるようになっている。
これに違反した場合、そのときのラップタイムは抹消されることになるとともに、決勝でトラックタイム違反があったドライバーには都度F1競技委員から警告が出され、一定の数を超えるトラックリミット違反があった場合にはタイム加算ペナルティーとともにペナルティーポイントが科せられるようになっている。
実際のところ、先週末にアルガルヴェ・サーキットで行われたF1ポルトガルGPにおいてもダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)、ランス・ストロール(レーシングポイント)、ロマン・グロージャン(ハース)らにこのトラックリミット違反によるペナルティーポイントが与えられている。
だが、ドライバーの中にはトラックリミットに違反したからといってペナルティーポイントまで付与するのはやり過ぎではないかとの不満を持つ者が多いようだ。
現F1チャンピオンであり、ポルトガルでこれまでミハエル・シューマッハが持っていたF1歴代最多勝利記録を更新する92勝目をあげたルイス・ハミルトン(メルセデス)さえ、ペナルティーポイントは明らかに危険な行為を行ったような場合に限られるべきだと発言している。
しかし、ペナルティーポイントの運用ルールを緩和する必要があると考えているかと質問されたマシは次のように答えた。
「最初に言っておくが、それはない。私はそうは思っていない」
「次に、我々はこれらのことについてドライバーたちと話し合ってきている。シーズンが始まるとき、FIAはチームの巣ポーティングディレクターたちと共にペナルティーポイント表の見直しに取り組み、競技委員が沿うべきガイドラインについて話し合った」
「その結果として、我々は罰金やペナルティーポイントに関して合意したんだ」
「これらは全て毎年見直しが行われている。チームから見ても、そういう違反に対して(ペナルティー)ポイントが与えられるのは驚くようなことではないはずだ」
「それに、これらの事項に関してはドライバーたちとのブリーフィングにおいても話をしている。そして2021年に向けた準備として、またこれら全てに関して考察が行われることになる」
そう語ったオーストラリア出身のマシは次のような主張で締めくくっている。
「はっきりしていることは、選手権の途中では何も変えることはないということだ」