FIA(国際自動車連盟)のジャン・トッド会長が、4回F1チャンピオンとなった実績を持つセバスチャン・ベッテルが来年以降もF1に留まって欲しいと語った。
2015年にレッドブルからフェラーリに移籍したベッテルだが、5回目のF1タイトルには手が届かぬまま今年限りでフェラーリを離脱することが決まっている。
フェラーリではシャルル・ルクレールとマクラーレンから移籍することが決まったカルロス・サインツのドライバーラインアップで2021年を戦うことになるが、現時点ではベッテルの去就は定かではない。
実際のところ、トップチームのメルセデスやレッドブルのシートを獲得するのは難しいと考えられており、ベッテルがこのまま今年限りでF1を引退することになる可能性が高いとの見方もある。
かつてフェラーリのチーム代表を務めていたことでも知られるトッドはイタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』に次のように語った。
「モータースポーツは人間、機械、そしてチームワークのコンビネーションなんだ」
「それらの要素のひとつが欠けてしまえばほかの要素も機能しなくなる。ベッテルだけでなくアロンソも勝てなかったのはそのためだ」
「セバスチャンは戦闘力のあるクルマを手にしたときには勝利していた。それは(ミハエル)シューマッハも同じだったんだ。彼は1996年に(フェラーリに)来たが、タイトルをとるのに2000年まで待つしかなかった」
フェラーリがベッテルとの契約を延長しないことを決めたことについてどう思うかと質問された74歳のトッドは次のように答えている。
「私は誰のことも批判したいとは思わない」
「セバスチャンは非常に才能のあるドライバーだ。だが、ここまでのところ彼には2021年に乗るクルマがないようだ。私は彼が契約を結ぶことができるよう期待しているよ。それはセバスチャンのためでなく、F1にとっても重要なことだからね」
一方、昨年はフェラーリの2019年型F1エンジンの合法性に関する疑問が噴出し、FIAがその調査に乗り出していた。だが、FIAはフェラーリと“秘密の合意”を結び、その件に関してはそれ以上の調査を行わないと発表。これがライバルチームたちの大きな反感を呼んでいる。
だが、トッドはこの件に関しては問答無用だとし、次のように主張している。
「私はまた同じように行動するだろうね」
「それはルールに則ってプロフェッショナリズムと透明性をもって対処されたんだ。私は自分が得た情報をもとに決断する必要があるし、私は自分だけでそうしたわけではないよ」
トッドはさらに、最近メルセデスのルイス・ハミルトンが人種差別問題などに関する政治的発言を行っていることに対し、FIAもそれを支持すると次のように語っている。
「最大限の敬意を払うよ。FIAも人権問題に関しては非常に積極的に取り組んでいるからね」