1997年の国際F3000チャンピオンであるデンマーク出身元レーシングドライバーであるジェイソン・ワットが、今季限りでルノーのシートを失うニコ・ヒュルケンベルグがハース移籍のチャンスを逃したことは残念だと語った。
2010年にウィリアムズでF1デビューを飾り、今年通算9年目のF1シーズンを迎えているドイツ人ドライバーのヒュルケンベルグだが、2020年にはF1グリッドからその姿が消えることが確定している。
ワットは、フォース・インディアに在籍していた2016年までは常にチームメートをしのぐ走りを見せていたことでヒュルケンベルグがかなり高い評価を受けていたものの、「その後はその勢いが衰えてしまっていた」と母国の『Ekstra Bladet(エクストラ・ブラデ)』紙に語り、次のように続けた。
「2019年を含む過去5シーズンでは、彼がチームメートより上で選手権を終えたのはたった1回だった」
「2018年には(ルノーで)カルロス・サインツ(現マクラーレン)を相手にうまくやってみせたから、私も今年ダニエル・リカルドを相手にどう戦うのかを楽しみにしていたんだ」
だが、ワットは2019年にヒュルケンベルグのペースが落ちてしまった理由は別のところにもあるかもしれないと考えているようだ。
「デンマーク人なら誰でも覚えているけれど、(2016年に)マグヌッセン(現ハース)がもう(ルノーとの)契約を更新しないことが明らかになるとすぐにジョリオン・パーマーの方が速くなったんだ。2台のマシンに共通点があるとすれば、黄色だったということだけだ」
「それと同じことがヒュルケンベルグにも起きたと思っているわけではないけれど、ルノーがダニエル・リカルドの方により興味を抱いていたのは疑問の余地もないと思っている」
一時、ヒュルケンベルグに関しては2020年にはロマン・グロージャンの後任としてハースに加入する可能性が高いと考えられていた。だが、ハースは意外にもグロージャンとの契約更新を発表し、ヒュルケンベルグ加入の可能性は消えてしまった。
ワットは、ヒュルケンベルグとハースの話がまとまらなかったのは、ヒュルケンベルグが高額な報酬を要求していたためだと考えている。
「ロマン・グロージャンはばかげたミスが多いし、それはケビン(マグヌッセン)にとっても有益なことではないんだ。だから、ケビンのためにも、私はヒュルケンベルグが2020年にそこ(ハース)にいて欲しいと思っていたんだ」
1999年にオートバイでの事故で下半身にマヒを負い、その後は改造ツーリングカーでのレースに出走するなどしてきた49歳のワットはそう語ると、次のように付け加えた。
「もはや彼はDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)もしくはフォーミュラEでキャリアを終えることになりそうだし、私に言わせればそういうことになった責任は彼自身にあるんだ」