有名なF1サーキット設計者であるヘルマン・ティルケが、2020年に初開催されるベトナムGPでは非常に白熱したレースが展開されることになるだろうと示唆した。
■短期間での完成が求められるハノイ市街地コース
F1オーナーのリバティ・メディアは2020年4月にベトナムの首都ハノイの市街地コースでF1を開催すると発表している。
その市街地コースの設計と建設を請け負うのはやはりティルケだが、実際にその作業が開始されるのは1月末のことになるようだ。
「つまり、すべてを完成させるまでにちょうど1年しかないことになる」
母国ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語った64歳のティルケは次のように続けた。
「それはかなり野心的な計画だ」
「だが、そういうことをやり遂げたのは我々にとって初めてではない。バーレーンでのサーキット建造にはわずか14か月しかなかったからね」
■市街地コースを造るのは簡単ではない
だが、ベトナムとバーレーンには根本的な違いがある。バーレーン・インターナショナル・サーキットが砂漠の中に造られたパーマネントコースであるのに対し、ベトナムの場合は市街地コースであることだ。
「すでに道路があるわけだからその方が簡単だとみんなは考えるかもしれない。だが、そうではないんだ」
そう語ったティルケは次のように付け加えている。
「まったく新たなコースを造るときよりも考慮すべき詳細な部分が多くなるんだ。結局のところ、我々がやるべきことに大きな違いはないよ」
■ピットインのタイムロスが小さいコースに
だが、ティルケは、新たにハノイに設けられる市街地サーキットは、ほかの近代的な市街地コースよりもドライバーには歓迎されるものになるだろうと考えている。
「彼らにとって、そこでの走行はそれほど簡単なものにはならないだろうからね」
そう語ったティルケはさらに、ベトナムでのレースはピットインにかかる時間がほかのサーキットに比べるとはるかに短くなると明かし、これにより白熱したレースが展開されるだろうと次のように続けた。
「ドライバーがピットに入るとき、彼らはすべてのコーナーを通過しないことになるんだ」
「それはF1首脳部の要望だった。彼らはピットレーンでのロスタイムを可能な限り小さくすることで、もっとピットストップを増やし、チームの戦略により多くの選択肢を与えたかったんだ」