メルセデスを傘下に置くダイムラーAGのディーター・ツェッチェ会長がブレグジットと呼ばれるイギリスのEU離脱問題に対する懸念を表明した。
国民投票によってEU(欧州連合)からの離脱を決めたイギリスだが、その後どういう形での離脱となるのかを巡って国内でも世論が大きく割れ、混迷を深めている。
すでに昨年末にはメルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)がこの問題に触れ、「我々はイギリスで大きな活動を行っており、この問題を注意深く見守っている」と、その成り行きに対する懸念を明らかにしていた。
そのヴォルフのボスである65歳のツェッチェもこのほどドイツの国際公共放送局である『Deutsche Welle(ドイチュ・ヴェレ)』に次のように語った。
「それ(ブレグジット)は非常に悲観的な結果をもたらすだろう。とりわけ、自動車産業にとってはね」
イギリスではテリーザ・メイ首相がEUととりまとめた協定案が大差で否決されており、このままではイギリスは「合意なき離脱」へと向かわざるを得ない可能性が高くなってきている。
こうした中、『Times(タイムズ)』はツェッチェを含むドイツの著名人たちが署名した文書を掲載。それには次のように書かれている。
「我々は、とりわけこうした困難な時期に、欧州連合の一員であるイギリスが去ればさびしく思うだろう」
「それゆえ、イギリス人たちに知って欲しい。我々は心の底から彼らにとどまって欲しいと願っていることを」
F1チームの多くはイギリス国内にファクトリーを構えており、イギリスのEU離脱問題がどう進展するかによって今後のチーム運営にも多大な影響が及ぶことになると考えられている。