ミック・シューマッハが、フェラーリが自分に注目してくれているのはうれしいと語った。
7度F1チャンピオンとなったミハエル・シューマッハを父に持つ19歳のミックだが、昨年からヨーロッパF3選手権への挑戦を開始したものの、今季前半まではそれほど目立つ活躍ができていたわけではなかった。
■F3王座に王手をかけたミック
ところが、スパ・フランコルシャンで行われた今季の第5ラウンド第3レースで初優勝を飾ったミックはそこから突然の快進撃をスタート。
ミックは先週末にレッドブルリンクで行われた第9ラウンドを終えた時点で通算8勝を達成し、あと1ラウンド3レースを残す時点でランキング2番手のダン・ティクトゥムに49ポイントという圧倒的な差を築いてトップに立っている。
■“シューマッハ”の名前には勝てないとティクトゥム
シーズン中盤までは今季のF3チャンピオン最有力候補であったティクトゥムにとっては面白くない展開であるのは間違いない。
レッドブルは育成ドライバーであるティクトゥムを来季トロロッソに乗せたいと考えているものの、現時点では仮にティクトゥムがF3タイトルをとったとしても、F1昇格が認められるスーパーライセンスポイント数にまだ満たない状況だ。
レッドブルとしてはティクトゥムにF3でタイトルを獲得させ、さらに冬に行われる別のF3選手権にティクトゥムを参戦させ、そこで足りないポイントを稼がせるつもりだとうわさされている。
だが、もしこのままミックがタイトルをとり、ティクトゥムがランキング2位以下でF3を終えることになれば、そのもくろみが大きく崩れてしまうことになる。
ミックと同じ19歳のティクトゥムは突然圧倒的な速さを示し始めたミックに関して次のように語った。
「どこからともなくやってきたって感じだね。残念ながら、僕は負け戦を戦っているよ。僕の名字はシューマッハではないからね」
■ドアは開かれているとフェラーリ
だが、ミックにとってはティクトゥムの皮肉を込めたコメントよりも、フェラーリのチーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネから送られたコメントの方がずっと重要だったようだ。
アリバベーネは、かつてフェラーリで5回F1王座についた父親から受け継いだ才能を発揮し始めたミックに対し、「マラネロ(フェラーリ)のドアは常に開かれている」と語り、次のように付け加えていた。
「常々言っていることだが、彼には楽しみ、十分な集中を保ち、ゆっくりと、しかし着実に成長することが必要だ。そのうち、将来のことが見えてくるだろう」
■ミックが来季F1デビューする可能性は?
ミックは、このアリバベーネの言葉は「非常にうれしい」と語り、次のように続けた。
「僕のパフォーマンスが認められているのはうれしいものだし、それがフェラーリのようなチームからであればなおさらうれしいよ」
ちまたのうわさでは、ジュニアチームのトロロッソの2019年ドライバー体制がまだ決定していないレッドブルが、ミック獲得に興味を抱いているとも言われている。
ミックが今季のF3タイトルをとれば、スーパーライセンスポイントをF1昇格が可能となる40ポイント以上に積み上げることができ、2019年に堂々とF1デビューできる資格を手にすることになる。
しかし、現時点では、ミックは2019年にはF2へ進む可能性が高いと考えられている。
ミックは今後のことについて次のように語っている。
「今はもちろんF3に集中しているよ。話し合いはしているけれど、現時点ではまだ何も確定はしていないんだ」