フェラーリのセバスチャン・ベッテルが、先週末にF1スペインGPが開催されたバルセロナ-カタルーニャ・サーキットで使用された新仕様タイヤについてしっかりと研究する必要があると語った。
●【画像:レース結果表】F1第5戦スペインGP決勝のタイム差、周回数、ピット回数
■バルセロナで強さを取り戻したメルセデス
今シーズンは幸先よく開幕から2連勝を飾ったベッテルだが、第3戦以降は表彰台にも上ることができない状態が続いている。
そして、先週末に行われた第5戦のスペインGPでもベッテルは4位に終わり、優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)とのポイント差は一気に17に開いてしまっている。
それでも、第4戦が終わった時点でのベッテルにはそれほどのあせりは感じられなかった。それはフェラーリの2018年型車がメルセデスを一歩リードしているという自信があったためだ。
ところが、スペインGPの舞台となったバルセロナでは明らかにメルセデスの方がフェラーリよりも速さを示していた。
■メルセデス躍進の秘密はピレリの新仕様タイヤ?
ベッテルは、スペインでメルセデスのパフォーマンスが格段に向上したのはF1公式タイヤサプライヤーであるピレリが持ち込んだドライタイヤによるものではないかと考えているようだ。
ピレリは全面再舗装が行われたバルセロナのサーキットでブリスターの発生リスクを減らすためにこれまでよりもコンパウンドを薄くしたドライタイヤを持ち込んでいた。そしてこれと同じタイヤが第8戦フランスGP(6月24日決勝)と第10戦イギリスGP(7月8日決勝)でも使用される予定になっている。
「どうやらこの変更によってライバルたちよりも僕たちの方が不利になったみたいだね」
そう語ったベッテルは次のように付け加えた。
「幸い、モナコ(27日決勝)ではまた普通のタイヤに戻されるけどね」
■今週の公式テストでタイヤの比較テストも?
一部にはメルセデスがピレリに圧力をかけて自分たちに有利となるようタイヤに変更を加えさせたのではないかとのうわさもささやかれている。だが、メルセデスを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)は、今回ピレリが行ったタイヤ仕様変更は特にメルセデスを有利にしようとしたものではないとそうしたうわさを一笑に付している。
しかし、イタリアのテレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』は、ピレリは15日(火)と16日(水)の2日間にわたってバルセロナで行われる公式テストに仕様変更前のドライタイヤを持ち込み、先週末に使用された新仕様タイヤとの比較テストを行うことになるだろうと報じている。
『Sky Italia(スカイ・イタリア)』によれば、ピレリ関係者が次のように語ったという。
「近日中に会議が行われる予定となっているが、フランスとイギリス同じタイヤを使うことになるかどうかは分からない。だが、もし元のものに戻すということになれば、ミスがあったことを認めることになってしまうだろう」
■新仕様タイヤ対策が課題となるフェラーリ
だが、もしピレリが現在の計画通りにフランスやイギリスでも今回スペインで使用されたものと同じ仕様のタイヤを投入することになれば、フェラーリとしてはその対策をしっかりと練っておく必要が出てくるのは間違いない。
ベッテルもそれを認め、次のように語った。
「どうして僕たちがライバルたちよりもそのタイヤにてこずったのか、その理由を理解する必要があるよ」
「フランスとシルバーストン(イギリス)では同じタイヤを使うことになると思う。だからその答えを見つけることが重要なんだ」
■モナコには不安が残るメルセデス
だが、2014年以降最強チームの位置をキープしているメルセデスにも苦手としているサーキットがある。そして次戦モナコGPが開催されるモンテカルロ市街地サーキットもそのひとつに数えられるだろう。
ヴォルフもそれを認め、次のように語っている。
「我々にとってはあまりよくないサーキットがほんのいくつかある。モナコ、ハンガリー、そしてシンガポールだ」
「その理由はある程度分かっているが、一部はまだミステリーだよ」
そう語ったヴォルフはバルセロナでは1-2フィニッシュを達成したものの、完全によろこべる状態ではないと次のように付け加えた。
「私が完全にお祝い気分になれないのはそれが理由だよ。私はモンテカルロのことを考えているんだ」