メルセデスAMGを率いるエグゼクティブディレクターのトト・ヴォルフが、バルテリ・ボッタスはF1において「殺し屋」のような冷酷な強さも身に付けなくてはならないと主張した。
■今年メルセデスが勝てたのはハミルトンのおかげ
メルセデスAMGは2014年以降4年連続でドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルの両タイトル獲得を達成した。ヴォルフは、これはハミルトンの活躍に負うところが大きいとオランダの『Formule 1(フォーミュレ1)』に次のように語った。
「1年中、ルイスと一緒にロックンロールをしてきたよ」
メルセデスAMGの非常勤会長を務める元F1ドライバーのニキ・ラウダもイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語っている。
「我々の今年のクルマは最高とは言えなかったんだ」
「過去3年は、私が運転したとしてもF1チャンピオンになれるだけのアドバンテージがあった。だが今年はフェラーリが強さを発揮した。だからルイスが我々にタイトルを与えてくれ、逆の結果になることを防いでくれたと言うべきだね」
■ボッタスにはまだ足りないものがあるとヴォルフ
一方、2016年シーズン後に突然F1を引退したニコ・ロズベルグの後任として急きょハミルトンのチームメートに抜てきされた元ウィリアムズのボッタスだが、シーズン前半こそ第4戦ロシアと第9戦オーストリアで優勝するなど、予想以上のパフォーマンスを発揮して見せたものの、その後は特に予選でハミルトンにかなり差を付けられるという状況に陥ってしまった。
ヴォルフは、そのボッタスについて次のように語った。
「バルテリはその後ゆっくりだが、確実にばん回してきたよ。だが、彼にはもっと殺し屋のようになる必要があるね」
そう語ったヴォルフの頭の中には前戦F1ブラジルGPのスタート時の光景が思い起こされていたに違いない。
ブラジルGP予選で今季3回目となるポールポジションを獲得したボッタスだったが、決勝ではスタートでフェラーリのセバスチャン・ベッテルに追い抜きを許してしまっていた。
■最終戦では奇跡が必要だとボッタス
結局、その後コース上で逆転することもできず、ブラジルGPを2位で終えたボッタスはレース後に次のように語った。
「ものすごくがっかりしているよ。スタートで優勝を失ったわけだからね」
「その後はフェラーリともかなり接近していたし、僕もセバスチャンにプレッシャーをかけようとした。だけど、それによって何も変わらなかったよ」
「もちろん、ドライバーズランキング2位争いをしている僕にとってはいい結果ではなかったさ。彼(ベッテル)はリードを大きく広げてしまったし、僕にはアブダビで何か奇跡が必要だね」
最終戦のアブダビGP(26日決勝)1レースを残すのみとなった今シーズンのF1だが、現時点でドライバーズランキング2番手につけているベッテルと3番手ボッタスの差は22ポイントに広がってしまっている。ボッタスが最終戦で逆転してランキング2位となるためには、自分が優勝し、なおかつベッテルが9位以下でレースを終えることが必要だ。