メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダが、F1第20戦ブラジルGP決勝でレースが赤旗によって中断されたのはF1にはふさわしくないことだったと主張した。
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■最終戦に持ち越されたドライバーズタイトル決定
雨となったブラジルGP決勝ではルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が3戦連続となるポール・トゥ・ウィンを達成。これにより、今季のドライバーズタイトル争いは最終戦アブダビGP(27日決勝)に持ち込まれることになった。
ブラジルで優勝すれば初のタイトル獲得が決まっていたはずのポイントリーダーのニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)は2位にとどまり、リードは12ポイントに縮まった。だが、アブダビGPでハミルトンが4連勝を飾ったとしても、3位以上でレースを終えればタイトル獲得が決定するという有利な状況であることに変わりはない。
ロズベルグはインテルラゴス・サーキットで行われたブラジルGP決勝を終えて次のように語った。
「最初は彼(ハミルトン)にプレッシャーをかけようとしたんだ。だけど、僕はすぐに彼のほうが速いってことが分かった。2位は僕にとって悪い結果じゃないよ」
だが、ロズベルグ有利という状況には変わりがないものの、レースでは何が起きるか分からない。今季はチャンピオン決定が最終戦まで持ち越されたことで、いわゆる消化レースは1レースも発生しなかったことになる。
メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダも次のように語った。
「バーニー・エクレストン(F1最高責任者)はうれしいだろうね。彼が望んでいたような最終戦になるんだからね」
■ブラジルでのレース運営は慎重過ぎた?
一方、雨となったブラジルGP決勝ではさまざまなドラマが展開され、見方によっては面白いレースだったと言えるだろうが、度重なるセーフティカー導入や2度の赤旗中断が発生したレース運営に対しては不満の声も上がっているようだ。
特に、キミ・ライコネン(フェラーリ)のクラッシュによって赤旗中断となった後いったんセーフティカー先導でレースが再開されたものの、FIA(国際自動車連盟)のF1競技委員長であるチャーリー・ホワイティングはまだ雨によりコースが安全な状態ではないと判断し、再びレースを赤旗中断とすることを決定していた。
さすがにこのときは観客席を埋め尽くしたファンからは大きなブーイングが沸き起こっていた。
このときセーフティカーの後ろで走行していたハミルトンは、無線で再びそのまま赤旗中断になると聞かされると、「レースはできる状態だよ」と不満を現していた。
■あれくらいで赤旗を出すのはおかしいとラウダ
かつて3度F1王座についた元F1ドライバーでもあるラウダは、ドイツの『Bild(ビルト)』に対し、あのレース中断は「F1に値しないものだ」と批判し、次のように続けた。
「あのときは雨のレースをする上では完ぺきなコンディションだったよ」
「これはすべてにおいて規制が厳しすぎることのひとつの例だね」
「確かに、ハミルトンを除けばすべてのトップドライバーたちもヒヤリとする場面を作っていたよ。だが、それは雨のレースでは普通のことさ」
「今日はミスが犯されたと私は思っている。だから今後はもっとましなことが行われるようチャーリー・ホワイティングと相談する必要があるね」
そう語ったラウダは、雨の中で素晴らしい走りを見せたレッドブルのマックス・フェルスタッペンを引き合いに出し、次のように付け加えた。
「何人かのドライバーたちはマックスがどういうラインを走行していたのか、よく調べておく必要があるよ」
■今の雨用タイヤに問題ありとライコネン
だが、ホームストレートでコントロールを乱し、あわや後続のクルマをも巻き込む可能性のある大クラッシュを演じたフェラーリのキミ・ライコネンは、F1タイヤサプライヤーであるピレリが供給している雨用タイヤに対する不満を口にしている。
「今のタイヤはそれほど雨が強く降っていない状況でもアクアプレーニングを起こしやすいんだ」
そう語った2007年のF1チャンピオンであるライコネンは、次のように付け加えた。
「10年前なら、これくらいのコンディションならタイヤにとって問題ではなかったよ」
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