1998年と1999年にF1タイトルを制した元F1ドライバーのミカ・ハッキネンは、今年はついにニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が初のF1チャンピオンになる可能性が高いと見ているようだ。
■ロズベルグの成長をよろこぶハッキネン
ハッキネンは、ドイツの『Spox(シュポクス)』とのインタビューにおいて、ロズベルグがまだほんの子供だったころから知っていると次のように語った。
「4歳か5歳だった彼が歩き回っていたことを覚えているよ。小さなヘルメットを持っていて、こう言っていたよ。“さよなら。僕はこれからゴーカートを運転しに行くんだ”とね」
ハッキネンはかつて、ロズベルグの父であり、やはり元F1チャンピオンであるケケ・ロズベルグにマネジメントを依頼していたことがある。父親についてきたニコと顔を合わせる機会もそれなりにあったようだ。ちなみに、ニコはドイツ国籍だが、父親のケケはハッキネンと同じフィンランド国籍だ。
47歳となったハッキネンは、「今の彼(ニコ)を見ると、本当に誇らしく思うよ」と付け加えた。
■最高のスタートを切ったロズベルグ
2014年にパワーユニットが導入されてから圧倒的な強さを示しているメルセデスAMGだが、2014年と2015年はいずれもルイス・ハミルトンがタイトルを獲得していた。実際のところ、ハミルトンがマクラーレンから移籍してきた2013年シーズンも年間ランキングではハミルトンに敗れており、ここまでの3年間のチーム内バトルはすべてハミルトンに軍配が上がっていた。
しかし、30歳となったロズベルグは、現在昨シーズンからの連続勝利を6に伸ばし、現時点ではハミルトンに36ポイントの差を付けている。まだ3レースが終わっただけだとは言え、初タイトル獲得に向けて非常にいい位置にいるのは確かだ。
「才能は持っていたんだ」
ロズベルグについてそう語ったハッキネンは、次のように続けた。
「だが、今の彼はゴールを明確に心に刻みつけているし、強い信念を持って“イエス、僕はF1チャンピオンになりたい”と口にしている」
■今年のロズベルグはこれまでとは違う
そう語ったハッキネンとロズベルグには意外な共通点がある。それは、どちらのドライバーもF1デビューしてから初勝利を飾るまで6年を擁したという点だ。そして、ハッキネンが初F1タイトルを獲得したのは、今のロズベルグと同じ30歳のときだった。
「恐らく、すべてが偶然だというわけではないと思うよ」とハッキネンは続けた。
「何事もそうだけれど、特にF1においては、勝利する準備が整うまでに時間がかかるものなんだ。言い方を変えれば、頭の中ではF1チャンピオンになりたいと言っていたとしても、本当にその準備が整っているわけではないということさ」
「その準備も簡単に整うわけではない。強い信念と身体的強さがすべてそろうことが必要なんだ。それはほとんどの人たちが考えているよりもさらに難しいことなんだ」
そう語ったハッキネンは、次のように付け加えた。
「そして、僕の答えはイエスだ。彼はF1タイトルをとる準備が整っているよ」