現役時代に4度F1チャンピオンの座についた元F1ドライバーのアラン・プロストが、現在のF1はあまりにも複雑かつ厳密なルールに縛られており、それがレースの面白さを失わせている要因になっていると主張した。
「1990年のメキシコを思い出すよ」
母国フランスの『L’Equipe(レキップ)』にそう語ったプロストは、次のように続けた。
「私は13番手からスタートしたんだ。決勝に向けて最高のセッティングを施すことで予選でのスピードを犠牲にしたからね。それによってクルマはもっと運転しやすくなり、タイヤにもやさしくなったのさ」
プロストは結局そのレースで優勝を飾ることができた。だが、それと同じことを今やろうとしても不可能だとプロストは次のように主張した。
「あまりにも空力に頼りすぎているんだ」
「F1はF1らしさを残さなくてはならない。賢い者、懸命に取り組んだ者、リスクを取った者たちに勝利を得る可能性を残すものでなくてはならないんだ」
「私は人為的な手法でそれを実現しようと言っているわけではない。そうではなく、レースにおいていろんなたくらみを創造することができる選択肢の数を増やすことが必要なんだ」
「我々の時代には異なるタイヤを組み合わせることも可能だったし、ライバルたちの裏をかくためにデータを隠し、最後のギリギリのところで変更を行うといったこともできた」
そう述べたプロストは、次のように付け加えた。
「今のF1は、あのころとはかなりかけ離れてしまっている」