先週末のF1シンガポールGP(第13戦)では、セバスチャン・ベッテルがフェラーリ移籍後初となるポールポジションを獲得すると、レースでも一度も首位の座を奪われることなく、今季3勝目をフェラーリにもたらした。
当然ながら、フェラーリの母国イタリアのメディアは今回のベッテルのポール・トゥ・ウィンを大いによろこんでいる。
『La Repubblica(レプブリカ)』は、「彼(ベッテル)の稼ぎが(前任者のフェルナンド・アロンソより)少ないことを考えれば、アロンソとベッテルを入れ替えたのは大正解だった」と、微妙な言い回しでフェラーリの勝利を祝福。
また、『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』も、「ベッテルは彼のアイドルであったミハエル・シューマッハが1996年にフェラーリで達成したのと同じ3勝をあげた」と書き、その後フェラーリの黄金時代を築きあげたシューマッハと同じ道をベッテルが歩んでいるということは、今後フェラーリが成功する運命にあることを象徴するものだとの論評を展開している。
さらに、『La Stampa(スタンパ)』は、「フェラーリはいまや不可能だと思えていたことさえ夢見ることができる」と書き、次のように続けている。
「ベッテルは決して取り乱すようなことはないし、彼の勝利はチーム全員にとっての成功であるともに、彼個人にとっても傑出したものだ」
だが、フェラーリの元チーム代表であるチェーザレ・フィオリオは、フェラーリは今回の勝利に浮かれてはならないとイタリアのラジオ局『RAI』に次のように語った。
「夢を見ることはかまわない。だが、同時に足を地につけておくことが必要だ」
「シンガポールは今後迎えるレースの中では最もフェラーリにとって有利なサーキットだった。だが、日本GPがすぐ後に行われることで、メルセデスAMGにとっては問題解決のための時間があまりないために、同じような流れが続くかもしれないがね」
しかし、フィオリオも今季のフェラーリの復活を大いに褒めたたえている。
「エンジニアたちと設計者たちは信じられないほどのスピードでクルマを開発してみせたし、もう望みはないと思われていた差を詰めてみせ、フェラーリをメルセデスAMGに近いレベルにまで押し上げたよ」とフィオリオは付け加えた。