先週末のF1第9戦イギリスGPを終え、イタリアのメディアが軒並みフェラーリに対する厳しい記事を掲載している。
【結果】F1イギリスGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント
『La Repubblica(レプブリカ)』は、シルバーストンはフェラーリにとって「今シーズン最悪のパフォーマンスだった」と指摘。
『Tuttosport(トゥットスポルト)』は、「タイトル獲得の望みははるかかなたへと遠のいてしまった」と書いている。
イタリアのメディアが心配しているのは、フェラーリが重要な開発レースにおいて、首位を独走するメルセデスAMGばかりでなく、ウィリアムズにも後れをとってしまっているのではないかということだ。
■ウィリアムズに差を縮められているのは明らか
来季の契約更新に向けて切羽詰まった状況に置かれているキミ・ライコネンは、イギリスGPで予選5番手、決勝を8位で終えた後、次のように語った。
「クルマは問題なかったよ。ただ速さが足りなかっただけだ」
セバスチャン・ベッテルのほうは、イギリスGPを6番グリッドからスタートし、3レースぶりに表彰台に返り咲いていた。だがこれは今季型車SF15-Tの実力によるものではなく、レース終盤に急変した天候に助けられてのものだった。
「これは、僕たちが実力で得た結果ではないよ」と認めたベッテルは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように付け加えた。
「僕たちに改善する必要があるのは明らかだ。差を見れば、僕たちはこれまでのレースよりも遅くなっているんだからね」
チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネもそれを認めざるを得ない。
「我々は問題を抱えているし、それを分析する必要がある」
イタリアの『La Repubblica(レプブリカ)』にそう述べたアリバベーネは、次のように続けた。
「ストレートではかなり遅かったし、コーナーでも失ったタイムを取り戻すことができていなかった」
「我々には素晴らしいドライバーがいたし、素晴らしい戦略もあった」と表彰台に上ったベッテルを称賛したアリバベーネだが、「我々には素晴らしいクルマも必要なんだ」と基本的な問題がそこにあることを示唆している。
■まだ2015年型車に見切りをつけるわけにはいかない
さらに、アリバベーネは、フェラーリではシルバーストンのような高速サーキットで苦戦しているだけではなく、硬めのタイヤへの対応にもてこずっていると語り、次のように続けた。
「残念ながら、スパ(第11戦ベルギーGP/8月23日決勝)や鈴鹿(第14戦日本GP/9月27日決勝)でもここ(シルバーストン)と同じようなレースとなるかもしれない」
「ウィリアムズが最近のレースで素晴らしいパフォーマンスを発揮してみせているだけに、我々もすべてのエリアで取り組んでいかないとならない。彼らが我々にとって問題となって欲しくはないからね」
「我々にとっての問題はメルセデスAMGだけだという状態を続けたいんだ」
だが、『La Repubblica(レプブリカ)』は、フェラーリが過去におかしてきた失敗のひとつに、明らかにF1タイトルを勝ち取る能力がないと分かっているクルマを辛抱強く使い続けたことがあげられると指摘している。
つまり、今季はいずれにしてもタイトル争いは無理なのだから、全精力を2016年型車の開発に向けたほうがよいのではないかとの見方だ。
「過去の問題を蒸し返すつもりはないよ」と語ったアリバベーネは、次のように続けた。
「とは言え、私に言わせれば、このプロジェクトをあきらめてしまうのは間違いだ」
「2016年型のマシンと、現在の2015年型車はお互いに補完しあう関係にあるんだ。だから、2015年型車の開発をやめるということは、貴重なデータを失うという結果につながるわけだ」とアリバベーネは主張した。