アジアや中東での転戦を終えたF1は、いよいよ次戦スペインGP(5月10日決勝)からヨーロッパへ戦いの舞台を移すことになる。
初めて予選Q1を突破し、決勝でも11位完走を遂げたフェルナンド・アロンソは、今後マクラーレン・ホンダが「大きな飛躍」を遂げるだろうとの期待を抱きながらバーレーンを後にしていた。
だが、マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは、それほど大きく飛躍できるとは考えていないようだ。
■いまだノーポイントのマクラーレン・ホンダ
5年間在籍したフェラーリを昨シーズン限りで離脱してマクラーレンへと移籍したアロンソだが、チームメートのジェンソン・バトンとともに今季は苦戦のスタートを迎えている。
4レースが終わった時点で、全20名のドライバーのうち、まだ1ポイントも獲得できていないのは、マノー・マルシャの2人と、ロータスのパストール・マルドナード、そしてマクラーレン・ホンダの2人の5人だけという状態だ。
■スペインGPで投入される新スペックマシンに期待
だが、ヨーロッパシリーズの幕開けとなるスペインGPは、アロンソのホームレースであるとともに、マクラーレン・ホンダではシャシーとエンジン両面において大きな改良を施した新スペックを投入することになっている。
アロンソも「スペインでは、最初の大きな前進を果たすことができるだろう」と期待感を表していた。
ブーリエも、スペインの『El Confidencial(コンフィデンシアル)』に対し、そのスペインで投入される新スペックマシンは「車体の後部についてはほとんどの部分が新しくなるだろう」と語っている。
■段階的な改善しか期待することは難しい
だがブーリエは、その新スペックマシンでも大幅な戦闘力アップを期待することは難しいだろうと次のように続けた。
「一歩でも前進が見られればいいと思っている」
「大きな飛躍を遂げることは期待できない。そういうことが期待できたのは過去のことだ。現代のF1では、段階的に改善を進めていくしかないんだ」
■アロンソの忍耐力を問う声も
かつてマクラーレン在籍時代に2度F1王座に輝いた元F1ドライバーのミカ・ハッキネンは、マクラーレン・ホンダが成功に向けて段階的なステップを踏んでいかなければならないとした場合、アロンソがそれを辛抱強く待つことができるかどうか疑問だと『Daily Express(デイリー・エクスプレス)』に次のように語った。
「フェルナンドには、今後2年か3年、あるいは4年にもわたって勝利に手が届かないという状況を迎える心構えはできているだろうか?」
「かなり退屈なプロセスになるはずだ。かつてのように年間15レースか16レースしかなかったころと比べると今は1年が長くなっているからね。世界中を旅して回るのは本当につらいものだ。そんな状況で、彼がやる気をずっと維持できるものかな?」とハッキネンは付け加えた。